📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第591話 よーし! 逃げ回るぞ!」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093084214515637📄「蛇の巣」は|護身具《タリスマン》のベースになった防御魔法だ。できれば衆目にさらしたくなかった。
ステファノがそういう魔法を使えるという事実が知られれば、その防御をかいくぐる術を考え出す敵が現れるかもしれない。
防御手段は秘密であることが理想だった。
(だけど、背に腹は代えられない)
イドの盾は既に存在が知られている。ステファノがイドに守られている前提で、相手は攻撃をしてくる。
だから、生身で受ければ死に至る攻撃でもダルマンは遠慮なく仕掛けることができた。
だが、その想定が常に正しいとは限らないのだ。
相手の放つ攻撃がステファノの防御を貫けば、怪我では済まずに命を奪われるかもしれない。その危険が常にそこにあるのだ。
戦いの最中、一瞬でも意識を失った事実がステファノに恐怖を与えていた。
(死にたくない!)
口入屋で殺されかけた恐怖がステファノの全身によみがえっていた。細かい震えで、歯の根が音を立てそうになる。
(やっぱり俺は戦いに向いていない。性根の部分が臆病すぎる)
ステファノの臆病さは自分だけでなく、敵の命にさえ向けられていた。「光龍の息吹」を放つ際、ステファノは当たっても命に別状をもたらさない個所を選んで標的にした。ダルマンの左太ももと右手首だ。
ダルマンの鉛玉はステファノの額に命中しているのに、だ。
こんな戦い方を続けていたら、いずれ自分は大怪我をする。下手をすると命を落とすことになるだろうと、ステファノは身震いした。
(勝てなくてもいい。勝つことよりも、生き残ることだ)
そう思い決めると、不思議なことに心が落ち着いた。……
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お楽しみください。