📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第589話 乾坤一擲!」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093083890772739📄3回戦の相手はインディアナという名の女性だった。華奢な体つきと長い黒髪が印象的だ。
左手に長杖を持っていたが、その杖は魔術発動体にふさわしい天然木を磨いたものだった。
(魔術主体のタイプかな? 一発撃ってから接近戦を挑んでみるか)
ステファノは、相手が使いそうもない武術での接近戦を仕掛けるつもりだった。対するインディアナの無表情からは、その意図をうかがい知ることができなかった。
「始め!」
轟っ!
インディアナの足元から2メートルもある炎が燃え上がった。ステファノが放った遠距離火魔法は派手な見た目だったが、その威力は肌を焦がす程度でさほどでもない。
敵がイドの鎧をまとっていることを見定めた上で、牽制として放ったものだった。
「あっ、消えたぞ!」
観客の間から驚きの叫びが上がった。炎に包まれる直前、インディアナがその姿を消したのだ。
(むっ! 炎隠れ、いや、おぼろ影の術か?)
おぼろ影は「原始魔術」らしきものとして伝承に残る術を、ステファノが再現したものだ。インディアナはステファノの研究報告を読んで、隠形五遁の術をトレースしたのだろう。
(師匠があれだけ親身になって訓練につき合ってくれたんだ。術式の制御ではステファノにだって引けは取らない!)
道場の期待を背負ってインディアナはこの大会に出ていた。「どうやって勝利を収めたか?」という勝ちっぷりも、名声を上げるためには重要な要素だった。敵の得意技で勝つ。それが彼女の狙いだった。
一方、ステファノは――。
(姿を隠しても存在が消えるわけじゃない。彼女はどこに行ったか?)……
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お楽しみください。