📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第587話 さすがにそれはないだろう。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093083644736647📄「アランさん、ネロさん、お久しぶりです」
「ステファノ、元気か?」
「……」
2人がステファノに会うのは丸1年ぶりだった。随分と大人びたようにも見え、少年らしさが残っているようにも見える。
「アカデミーを卒業したそうだな」
「はい。おかげさまで、貴重な経験をさせてもらいました」
王族進講を許されるほど好成績で卒業したことは、王立騎士団にいたアランたちにも聞こえてきていた。
その上、王国魔術競技会で準優勝を遂げたと聞いた時には、2人とも耳を疑った。
「一体何をどうすれば1年間で王国を代表する魔術師になれるのだか。この1年に何があったか、後でゆっくり聞かせてくれ」
アランの声にあきれたような響きが含まれていたのは無理もなかった。
「ステファノは魔法だけでなく武術も磨いています。講義のない日はステファノの杖を相手に剣の稽古をしてみるのもよいでしょう」
「ステファノは杖術を使えるのか? いや、さすがに1年足らずの修業で俺たちの相手は務まらんだろう」
アランにステファノとの稽古を勧めたのはマルチェルだった。
ここではアランの反応が正しいのだが、それは常識の範疇でのことだった。
しかし、武術と魔法に関してステファノに常識は通用しない。
「ステファノに杖を教えたのは武術教官を務めるヨシズミです。ああ、ちなみに体術はわたしが手ほどきしました」
「マルチェルの弟子……」
「ステファノは気功の達人ですので、外気功で杖に威力を載せ、内気功で身体能力を高めることができます。そうですね。わたしの見立てでは、あなた方の剣を相手にして杖ならステファノに分があり、無手ならやや後れを取るといったところでしょうか」
「さすがにそれはないだろう」
アランは疑ったが、マルチェルの評価は掛け値なしのものだった。もっとも、ステファノの側が普通に戦えばという条件がつく。
イドを飛ばしたり、爆発させることまですればステファノの負けはない。見えないイドの杖や鞭を使えば勝負にもならないだろう。……
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お楽しみください。