📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346🏆「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞!🎉✨
📖「第577話 俺たちに何か話があるって言ってませんでした?」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093082108857638+++++
📄サントスはやがて手を止め、深く息をついた。
「どれどれ、見せてもらおうか」
遠慮なしにスールーがスケッチに手を伸ばす。
「これは|魔動車《マジモービル》かな? 何やら車体に仕掛けを施しているように見えるけど」
「一部は馬車にも共通。意見を聞きたい」
サントスはサスペンション機構と操舵機構について、スールーとステファノに説明した。
「なるほど。どちらも不便に感じていたことだね。馬車の乗り心地が改善されるなら大発明といっていい」
「この硬いばねと柔らかいばねを組み合わせる構造には、どういう意味があるんですか?」
「柔らかいだけだと揺れが大きくなる。凸凹がひどすぎるところでは、乗り心地がかえって悪い」
サントスは実例を挙げてステファノの疑問に応えた。簡単に言えば、細かい振動は柔らかいばねで吸収し、大きな振動は堅いばねで吸収するという工夫だった。
「こっちは前輪の向きを変える仕組みですね?」
「ハンドルを回すと車輪の向きが変わるのか。うん? こっちのスケッチにはハンドルがないが?」
「それは|魔動車《マジモービル》用。魔法で車輪の方向を変える」
現状の|魔動車《マジモービル》は馬車と同じで、力づくで曲がっていた。操舵機構を組み込むのは、理にかなった改良だとステファノは思った。
「車体の重量をどうやって支えるかが課題ですね」
「そう。そこはキムラーヤでいろいろ試してもらう」
技術開発には試行錯誤がつきものだ。そこは実際に、試作と実験を繰り返して乗り越えるしかなかった。
「こういう時|魔示板《マジボード》って便利ですね」
サントスが描いたスケッチを一瞬でキムラーヤに送ることができる。|魔示板《マジボード》は印刷機とリンクさせてあるので、あちら側で印刷することも可能だ。
|魔耳話器《まじわき》で会話しながら同じ図面を検討することができる。……
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お楽しみください。