📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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🏆「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞!🎉✨
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📖「第575話 それができたら面白そうじゃねぇか?」
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📄トーマの疑問に応える形で、サントスは胸の中のもやもやを吐き出していった。
話している内にサントスの気持ちも落ち着いてきたようだった。
『ふうん。まあ、そんなもんじゃないの? 仕事ってのは食うためにやるもんだし』
「そうだろうけど……、それじゃあつまらん」
トーマの言うことくらいサントスもわかっている。「それでも」という話なのだ。
食うためだけの仕事はしたくなかった。
『贅沢なんじゃねぇの?』
「何?」
トーマは静かに、しかし突き放すように言った。
『あんたはどうか知らないが、俺は何年も店の手伝いをしてきた。俺は跡取りだ。使用人たちを食わせてやらなきゃならないからな』
「気に入らない仕事でもやるってことか?」
『稼げる仕事に好きも嫌いもないだろう?』
商会跡取りとしての「帝王学」を、幼い頃からトーマは仕込まれてきた。海難事故のトラウマで引き籠りとなったサントスとは実家での扱いに差があった。
『仕事をもらえるってことは、飯が食えるってことだ。喜ぶところだろう?』
「――」
言われてサントスは返す言葉がなかった。「飯が食えること」は当たり前だと思っていた。
だから、「金のための仕事」は楽しくないという発想になる。
『俺たちがやるべきなのはもらった仕事の中での「工夫」じゃないのか? これまでよりも早く、安く、良いものを創り出す工夫をさ』
「それは創造じゃなくて改良じゃないのか?」
『かもしれねえ。別にいいじゃねぇか。「見たこともない物」は注文できないだろ? 客にもらった注文の中でどれだけ工夫できるかが、俺たちの「腕」だ。「ただ金のため」にやるわけじゃねぇよ』
改良の中にも創造はある。トーマはそう語っていた。……
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お楽しみください。🙏😊