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📢更新しました。累計805万PVの「🍚🥢飯屋」。

📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
🌎https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346

📖「第571話 それが世の中というものだ。」
🌎https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093081225050608

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📄「そうか。トゥーリオは死んだのだな」

 ウニベルシタスに残っていたドリーは、ステファノの報告に目を伏せた。
 それ以上、何を言ったらよいのかわからなかった。

「クリードさんに知らせる暇もなくて……。勝手なことをしたと怒るでしょうか?」

 どこにいるかわからない相手に連絡する手段は、この世界にはない。探すとなれば1か月単位の時間がかかるだろう。

「これで良かったのだろう。連絡が取れたとして、『はい、かたき討ちをどうぞ』と言うわけにも……な?」

 勝っても負けても、それはクリードの自己満足でしかない。「社会」にとっては人殺しのヤンコビッチ兄弟を排除できればそれで良いのだ。
 命を奪うのは誰の手であっても構わない。

「ただ、皮肉なことではある。殺したいはずの人間に機会が回らず、殺したくない人間が手を下すことになるとはな」

 世の中は思惑通りに行くものではない。そんなことはドリーも知っていたつもりだったが……。

「現実を見ると、凹まされる」

 ドリーは大きなため息をついた。

「すまん。愚痴を言ったな」

 ドリーの中にも迷いがある。もうかたき討ちなど要らないのだと、クリードの肩を抱いてやりたい気持ちと。
 魔法と言う新理論の探求に身を投じたい気持ちと。
 ルネッサンスという大義を支える力になりたいという気持ち。

 それらはすべてドリーの本心であり、彼女の本質、その一部であった。……

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お楽しみください。

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