📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346📖「第570話 俺は大丈夫です。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093081223278063+++++
📄「ミケーレはわたしが殴り殺しました」
マルチェルの一撃はミケーレの心臓を正確に打ち抜いた。拳は肉体の表面を打っただけだが、衝撃は浸透し、心臓を押しつぶして鼓動を止めた。
「生き残りは御者台にいたナチョスと、座長のゴダールの2人ですね。ゴダールはそこら辺に埋まっているでしょう」
潰れた屋根や壁を押しのけてみると、気絶したゴダールが現れた。
ステファノがゴダールを縛り上げている間に、マルチェルは街道に転がっていたナチョスを引きずってくる。これもステファノが後ろ手に縛り上げた。
そうする内に後から町を出発した5人の鴉たちが追いついてきた。大破した馬車を応急修理させ、捕獲した2名と3つの死体を積ませる。
「このまま立ち去るわけにもいきませんね。ステファノ、我々も町に戻りましょう」
死人が3人も出ている。衛兵隊に事情を詳しく報告しなければならないだろう。
「馬車が一杯なので、我らの騎馬に分乗してください」
鴉の1人にそう勧められたが、マルチェルは顔をしかめて断った。
「馬は性に合わん。我々は自分の足で歩く。――いいですか、ステファノ?」
「ああ、はい。わかりました」
車軸のいかれた馬車に騎馬の歩調を合わせねばならない。それでも並の人間が小走りになる速さなのだが、マルチェルとステファノは遅れることなく歩き出した。
「ギルモア家の紋章があるので囚われはしないでしょうが、事情を説明するのは少々面倒ですね」
風を切って歩きながら、マルチェルは世間話でもするようにそう言った。……
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お楽しみください。