📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第568話 邪魔をするのはまだまだこれからだ。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093080912374835📄鴉のチームに見張りを任せ、マルチェルとステファノは早めに眠りについた。翌朝は夜明けと共に宿を出る。
ヤンコビッチ兄弟に自分たちの姿を見せないためだった。
敏感なトゥーリオなら2人の姿を見て、身の危険を感じ取るかもしれない。鴉たちにもくれぐれも姿を見られぬよう念押ししておいた。
町を出たところで街道を離れ、草むらに潜む。もちろん「おぼろ影」で身を隠していた。
ゴダール一座の馬車が通り過ぎたのは、夜が明けて1時間が過ぎた頃だった。明かりがなくては馬車を走らせることはできない。田舎町には街灯など存在しなかった。
馬車の行く手はこの先10キロ以上一本道だった。馬車を見失う心配はない。
ステファノはマルチェルを背負い、上空高く飛び上がった。
あっという間に眼下の馬車を追い抜き、街道を先行する。5キロ先に達したところで街道に着地し、マルチェルと自分の体をつないだ紐をほどく。
「すべては打ち合わせ通りに。目指すはトゥーリオです」
マルチェルの言葉にこくりと頷くと、ステファノは街道横の草原を突っ切って跳んで行った。街道から1キロの距離を取り、草むらに伏せた。体には「おぼろ影の術」を施し、姿を消している。
10分ほどで見覚えのある馬車が近づいてきた。
街道にぽつんと立つ人影を見て御者は不審気に目を細めたが、マルチェルが素手なのがわかり、そばまで馬車を寄せた。
「どうー。道の真ん中で何してる? 通行の邪魔だ。どいてくれ!」
大方食いつめ者が馬車に乗せろと言うのだろうと、御者は蠅を追い払うようなそぶりをした。
「邪魔をするのはまだまだこれからだ」
「何だと――」
御者の言葉が終わらぬうちに、マルチェルは4頭の馬を跳び越えてふわりと御者台に立った。……
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お楽しみください。🙏😊