📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
📖「第567話 相手は人ではない――けだものです。」
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📄「馬車を止めたら手綱を切って走れないようにします。中の人間が馬車から下りてきたらわたしが遠当てで倒します」
|魔視脳《まじのう》を開放したマルチェルは、近距離ならばイドを飛ばせる。
「お前が狙うべきはトゥーリオだけです。それ以外の相手は私に任せなさい」
トゥーリオは「|陽炎《かげろう》」でマルチェルの目を欺くことができる。存在を隠したステファノでなければ、彼を撃ち倒せない。
「連中が馬車に籠るなら、わたしが馬車を打ち壊します」
イドの鎧をまとったマルチェルの手足は、以前にも増して破壊力を高めていた。5秒もあれば馬車を解体できる。
「トゥーリオを視認したら一切躊躇しないことです。他人を巻き込もうと、構わず撃ちなさい」
初撃を外せばトゥーリオにギフトを使う機会を与えてしまう。ステファノの存在を知られないことが圧倒的有利の鍵なのだ。
「奴を逃せば将来何十人という犠牲者を出すことになります。絶対にここで止める覚悟を持つことです」
「わかっています。自分の心を殺して、『やらなければいけないこと』をやり遂げます」
ステファノはそう言うしかなかった。それは処刑吏ジェラートが日々の覚悟としている心構えであった。
「狙撃の遠当てには何を載せますか?」
マルチェルはステファノの攻撃方法を聞いた。攻撃が乱れ飛ぶ戦いの場では、味方の武器を知ることも重要である。そのつもりがなくても同士討ちが起きる場合もあるのだ。
「ピンポイントで標的を狙えるよう、雷魔法を載せます」
通常であれば|蛇尾《くもひとで》に載せる雷撃は敵を気絶させる程度に抑えるところだ。しかし、今回は即死レベルの威力を持たせる。
死体は黒焦げになるかもしれないと、ステファノはその威力を想像した。……
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お楽しみください。