📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬あなたはまだ、「魔法のリアル」を知らない――。
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📖第552話 ヨシズミは教壇には立たんそうだ。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093078653399959+++++
📄「まずは王立アカデミーの卒業おめでとう」
「ありがとうございます」
新築の香りが強く漂うウニベルシタスの一室で、ステファノはネルソンにアカデミー卒業の報告を終えたところだった。
ネルソンの背後にはいつも通りマルチェルが佇んでいた。ステファノの前にはマルチェルが自ら入れた紅茶が置かれている。覚えのある香りがステファノの帰着を受け入れてくれているように感じられた。
「旦那様こそ、ウニベルシタスの竣工おめでとうございます」
「うむ。何とか間に合ったな」
内装まで仕上がった建物内部には、既に調度品も運び込まれていた。教職員と学生が生活する寮もでき上がっている。食料品や燃料など、こまごまとした消耗品はこれから開校までに順次運び込まれることになっていた。
だが、入れ物ができただけでは学校は完成しない。最も大切なのは「人」であった。
「そうすると、教授を務めるのは……?」
「わたしが薬学と医学を教える。マルチェルには武術を担当してもらう。ドイルには農学と工学を教えさせる」
ネルソンとドイルの担当教科は適任だろうし、|再生《ルネッサンス》に必要な知識だと理解できた。マルチェルの武術指導も適任には違いないのだが、ステファノは一抹の不安を覚えた。
「教授科目に武術を含めるのは大丈夫なんでしょうか?」
「危険な団体と受け取られる懸念だな?」
ステファノの懸念については、もちろん考慮した上でのことであった。かすかにほほ笑みながらネルソンは答えた。
「そもそも学生の人数を絞る。初年度は10名だ。武装勢力と名乗るには人数が少なすぎるだろう」
「たったの10人ですか?」
「はじめはな。いきなり大人数を受け入れたら教授の数が足りなくなる。1年かけて教授を務める人材を集め、来年は20名、再来年は40名の入学生を受け入れる計画だ」……
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お楽しみください。