📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!✨」
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📖第547話 少し食い物を分けてもらえんだろうか?
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093077922837676+++++
📄馬車は遠くを走っており、こちらの姿が見えるとは思わない。それでもステファノは木から飛び降りるのを止めて、幹を伝って地面に降りた。
誰かが遠眼鏡で覗いているかもしれない。意味もなく目立つことは避けるべきだろう。
街道に戻れば馬車に追い越されることになる。あの土埃を浴びせられるのはかなわないので、ステファノは道から離れたまま馬車をやり過ごすことにした。
隠れる理由はないので、気配も消さぬままステファノは立木の前に座っていた。
すると騒々しく走って来た馬車がステファノの前でスピードを落とし、ガタピシいいながら停車した。
「おい、あんちゃん! ちょっと来てくれんか!」
馬車の窓から身を乗り出して、初老の男がステファノに呼びかけてきた。白髪に白いひげ、顔には深いしわが寄っていたが、声は力強かった。50代後半くらいに見える。
くたびれてはいるがしっかりとした仕立ての上着を着ているようだ。
ステファノを見る眼光が鋭い。
(目敏い人だな。よく俺を見つけたものだ)
そう思いながらステファノは立ち上がり、手を上げて馬車に近づいた。
「こんにちは」
馬車のドアから降りて来た白髪男性に、ステファノは自分からあいさつした。相手が何者かわからないが、あいさつ中に襲って来る奴はいない。出会いの緊張を緩和するには早めに挨拶してしまうことだ。
「おお。休憩中にすまんな。ちょっと話がしたくてな」
「はい。何かお困りですか?」
旅の途中わざわざ馬車を止めて声をかけてきた。無駄話がしたいわけではないだろう。
何か自分に頼みがあるのだろうと、ステファノは推察した。……
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🖋お楽しみください。