📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346📖第545話 また逃げてしまったか。
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093077674889443+++++
📄俺は闇の中にいた。
(真っ暗で何も見えない)
手を伸ばしてみても、何も指先に触れなかった。体の周りには何もないらしい。
そうは言っても暗闇で動き回るわけにもいかない。
(大体、ここはどこなんだ?)
「すみません。誰かいますか?」
声を出して問いかけてみたが、返事は何もない。
(俺は……気を失ったのか?)
気を失って、灯りのない病室に運ばれたのかもしれない。そうならば、数歩歩けば壁があり、壁を探ればドアがあるはずだった。
しかし、一筋の明かりも差し込んでこないのは腑に落ちない。
(ここは家の中なのか?)
それなら足元には木の床があるはずだ。家の外ならば土か砂だ。
俺はうずくまって足元の地面に触れようとした。
(何も無い? そんな馬鹿な!)
足の裏を支えているはずの地面の高さ、それよりも深くまで指先を伸ばしても、触れるものが何もない。
それどころか、自分の足の裏を触ることができる。
(足の下に何もない? 俺は一体どうなっているんだ? 宙に浮いているのか?)
自分の感覚には浮ついたところはない。宙に浮くどころか、今の今まで両の足で立っていると信じていた。……
+++++
お楽しみください。