📖第511話 色は陽、散るは陰。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093072905639338📄ステファノは「いろは歌」を詠唱しながら、足を運ぶ。その意識は足元でも前方の景色でもなく、内なるイドに向けられていた。
「色は匂えど、散りぬるを――」
どうしたらイドの振動数を変えられる? 魔力操作の基本はイメージだが、ステファノには「振動数」を変化させるイメージが掴めなかった。
(答えが見つからない時は、本質に立ち返れ。イドとは何だったか? 無意識の自我、俺はそう定義したはずだ)
自分を自分たらしめるもの。世界と自己を分ける認識。
(魔力錬成の元となる要素。俺はイドを練り上げて「|魔核《マジコア》」を得た)
生きているだけで存在するイドと魔核はどう違う? イドを持っているはずの|非魔力保持者《ノーマル》が魔術を使えないのはなぜか?
イドは魔核の元であっても、魔術発動には何かが不足している?
(錬成とは何だ? 魔核を練る時、俺は何をしている?)
ステファノが作り出すのは「|太極玉《たいきょくぎょく》」だ。陽気と陰気の|勾玉《まがたま》を手の中に作り出し、練り上げる。
練り上げた太極玉が魔核となるのだ。
……
📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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