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一人称小説における読ませ方。あるいは手の抜き方。

 まあ、僕自身はあまり一人称で書いたりしないのですが、この手の小説サイトでよく問題視される話がありますよね。

『主人公が知りえない内容が一人称で書かれている』

 そうなんですよ。まあ、ありがちなのは
「気を失った俺を、この子はずっと看病してくれた」とか
「俺たちが先に進んでいるころ、裏では敵の動きが――」とか
「俺は無意識のうちに、反射的に敵の攻撃をそらしていた」とか
 まあ、読者から突っ込まれやすいポイントかな、と思います。そこで、僕はちょっと考えてみたんです。

 読者は、「リアルタイムな主人公の主観から、物語を実況されている気分で読んでいる」のですよ。一方で作者は「すべてを知ったうえで、その物語を説明するように書いている」わけですから、かみ合わないわな。
 じゃあ、どうしたらいいか?
 簡単なんです。第一話の冒頭に、以下の文章を持ってくるだけ。

「ああ、あの時の話か。俺もよく覚えている。どこから話そうか?……そうだな。あれは数年前のことだった――」

 これを書くだけで、読者の視点は変わります。「リアルタイムな主人公視点」ではなく、「主人公が語る思い出話を聞く視点」にね。

 つまり、
「気を失った俺を、この子はずっと看病してくれた(と知るのは、だいぶ後のことだったな)」
「俺たちが先に進んでいるころ、(後で知るのだが)裏では敵の動きが――」
「俺は無意識のうちに、反射的に敵の攻撃をそらしていた(と、全て終わった後に目撃者から聞いた)」
――ってな具合に、あっさり変わっていくわけです。

 そういえば、あれだ。涼宮ハルヒの憂鬱なんかでも、キョンがよく「俺は予想できなかった」とか「それを俺が知るのは、もう少し後のことである」とか「今にして思えば、この時に気づくべきだったんだ」とか言ってましたよね。
 リアルタイムなうじゃなくて、振り返って過去を伝えている。その形式が重要なのかもしれないです。
 つーことで、一人称の作家さんでこれに悩みを持っている方がいらっしゃいましたら、やってみてください。方法は簡単。第一話の冒頭に一行入れるだけ。あとは何百万字書いていようと関係なし。一発修正できるすぐれもの。

 あー、何でこんなこと書いてんだっけ?こないだ中古屋に行ったら、ハルヒのキャラソンが1~9までセットで売っててさ。買ってみて気づいたんだけど、1と2が新キャラソンの方で、3以降が旧キャラソンの方……
 これを満足そうにセットにした店員もアホだが、いくら重なったままラッピングされているとはいえ気づかない僕もアホだな。
――って、すげーどうでもいい話でした。

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