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魔法の設計士。後日談3。ララ視点

 私はララ・ミルヴァーユ。
 ジルベスタル魔法研究所の副所長をしています。

 所長はアリアスさん。
 私は彼の補助がメイン。

 アリアスさんは頭が良くて、古代魔法が使えて、なんでもできてしまいます。
 それに、思慮深くてとっても優しい。

 特別な彼女はいないみたいなのだけど。
 魔法設計の研究に余念のない彼は、異性に興味がないみたい。
 
 私とは、仕事だけの関係なのかもしれないけれど。
 プライベートでは、何かと遊びに誘ってくれるし、きっと、嫌われてはないと思う。

 私はもっと親しい仲になりたいんだけどな……。

「アリアス! あなた2個食べたわね! 卵タルトは1人1個までなんだからね!」

「ん? ああ。読書に夢中でわからなかった」

「だいたいね。みんなでお茶する時くらい読書はやめなさいよね」

「安心してくれ。君たちの話は頭の中に入っているから」

「じゃあ、今度の休みは何するか言ってみなさいよ」

「オッツ婦人宅に食事に行くんだろ?」

「むきぃい! ちゃんと合ってるじゃない!」

ポカポカポカ!

「な、なんで正解しているのに叩かれるんだよ!」

「なんか腹立つのよ! えいえい」

 騎士団長のカルナさんはいつもアリアスさんの隣りにいます。
 カルナさんは素直じゃないけど、彼が好きなのは明白です。

 私だって本当は……。

 今日は勇気を出して、隣りに座ってみようかな……。

 えい。

 と、座った所で、読書に夢中な彼は気が付くはずもなく。

 私は、ただ近くで彼の温もりを感じているだけです。

 うう……。
 存在感の無さよ……。

 こちらから会話をすれば、優しい彼は答えてくれるだろうけど。

 ああ、わがままかもしれないけれど……。

 私からじゃなくて……。

 カルナさんより私を見て欲しい。

「石鹸変えた?」

 と、聞いてきたのは彼だった。
 本を読んだまま、視線は合わせないが。

 もう、私の心臓はドキドキです!

「え? ど、どうしてですか?」

「いや。以前の香りはラベンダーだったけどさ。今日はシトラスの匂いがするんだ」

「お、覚えていてくれたんですね……石鹸の香り」

「ああ。いい香りだったからね」

「シ、シトラスの石鹸はダメですか?」

「いや。いい香りだよ。どっちも好きだな」

 ああ……。

「ありがとうございます!」

 今日は最高の1日になりそうです!
 

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