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九人目? 登場 ミニ小説第九話

こんばんは。
こんばんは、の原型は「今晩は良いお月様ですね」でしょうか。
それとも「今晩は闇夜に紛れて殺人が起きそうですね」なのでしょうか。

はい、九人目の新人登場です。
今回の「フツーの女」は大人の女性の本質を鋭く、優しく、切なく描いてます。
タイトルも内容もとてもオシャレでセンスがあると思います。
大人の女性にぜひお読みいただきたいですね。
よろしくお願いします。




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ミニ小説
「文芸部的な、余りに文芸部的な」
寝手場架莉


「よろしくお願いします」
 昨日、マリーを送り出したばかりだというのに、
新しい人が来た。
 かなり若く、細身で「しらすのようだ」と寝手場は思った。褒め言葉である。
「ボウリングは好きですか」
 昨日の涙はなかったかのように歯医者の息子が尋ねる。
「はい、工事現場のボーリングを見るのは好きです」
「そうですか!」
 噛み合ってない気がしたが、寝手場は浴衣に腕を突っ込んだまま聞いていた。
「ダーツはどうですか」
「はい、服を作ったことはありませんが、二次元を三次元にするとても重要な工夫だと思います」
「そうですか! それは良かった!」
 そこまで聞いて不思議に思った寝手場も質問してみた。
「どんな資格をお持ちなのですか」
「はい、移動式クレーン運転士、発破技師、潜水士、1級建築士、建築設備士、電気工事士、電気主任技術者、電気工事施工管理技士、建築施工管理技士、土木施工管理技士、管工事施工管理技士、建設機械施工技士、消防設備士、消防設備点検資格者、マンション管理士、コンクリート診断士、宅地建物取引主任者、不動産鑑定士、ひよこ鑑定士です」
「最後になんか違うのが入ってましたけど、建築関係ばかりですね」
「あ、ちゃんとこちらに必要な資格もあります」
 いま忘れてただろ、と寝手場は訝しんだ。

1件のコメント

  • 「ハケンの品格」を想起させられました。ダーツのあたり、寝手場さんはファッションに造詣の深い方なのですね!
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