牛尾　仁成

おばあちゃんとの思いでを振り返ると、一つ疑問に残ることがある。 あの時、どうしておばあちゃんはあんなことを言ったんだろう？

あと、どれだけ急げば良いのか…… どうすれば耐えることができるのか…… 大事なことは、ただ――漏らさない、ことだ。

路地裏で見つかった何の変哲もない古ぼけたご家庭用お手伝いロボット「ナビゲーター」 けれど、それは本当に「ただ」古いだけなのか。 それでは、この「ナビゲーター」がここに至るまで…

暑い日差しが延々と続くようになると、ふと思い出す。 大したことをした記憶はないし、一つ一つも結構おぼろげだが、思い返すと何だかちょっと温かくなる気がする。 それがこれからも続いて…

ならず者が集まる酒場ではよく喧嘩が行われた。 安酒に群がる彼らにとって、喧嘩は恰好の酒の当だ。 いわゆる喧嘩屋なんて者もいる。今日も喧嘩で酒をかっ食らっていた。 そこに自分の同族…

都に入るためにはこの検査場を通過する必要がある。 大変厳しい検査場と聞くが、一体何が厳しいのだろう。 別に危険な物を持ち込むわけでもないのだが。 意外と早く列は進んでいるぞ。 そ…

人生に疲れ切った男が踏切へと歩を進めていた。

放課後の教室でぼんやりと外を見ていた時。 何とは無しに視線を泳がせていると、校庭の片隅で目が止まった。 最初はそれほど気にしてはいなかった。 あそこは弓道場なのか、ぐらいだった。…

博士はこの世で一番優れた装置を作り出したと助手に連絡をした。 慌てて駆け付けた助手に、この装置のすごさを博士は語り出す。 はてさて、この装置は一体何なのでしょうか？

幼い時に遭った交通事故で片眼が不自由な少年には二つの世界があった。 一つは現実の世界。もう一つはこの世の者ではないモノがいる世界。 これはちょっと普通とは違うモノが見える少年のお…

子供の頃の話。 好きなテレビアニメ（鋼の錬金術師の第１期）を毎週楽しみに見ていたが、あのアニメは漫画の連載より先のストーリーをオリジナルで描いた作品だった。 子供心にアニメの続き…

通りから一本奥に入った場所に位置する喫茶店がある。 どこにでもある古臭い喫茶店だが、客入りは良い。 店先の小さな鉢植えには枯れかけた紫色の花が植えられていた。 実はこの鉢植え、た…

脆弱な者には脆弱な者なりの戦い方というものがある。 必要なのは手段を考える頭とそれを実行する手足。 何も強い手足が必要なわけでは無い。 目的を遂げるために必要なことをするに足りる…

１日の終わり。 都会においては人が街からいなくなるのは考え難い。 でも、ここに人はいない。 ただ街があるだけ。 人が作り出した石と鉄でできた、空っぽの街が。 人の作り出した灯りに…

その男は全ての音に旋律を見出した。楽器が出す音だけではなく、人や生き物、物質が出す全ての音を好んだ。 男は物理的な空気の波ではなく、色彩や感情、行動や現象にも音を見出していた。 …

帝国の頂点に君臨する皇帝という存在は唯一絶対である。 故に皇帝の謁見は帝国の中でもごく限られた者たちのみが与れる特権的な栄誉であった。 謁見の間には帝国随一の実力者である公爵と、…

冒険者が挑むダンジョンには様々な仕掛けがある。 モンスター、罠、迷路などの難所を潜り抜けて冒険者たちはお宝という報酬を手に入れる。 だが、ダンジョンにもぐる冒険者の目的がお宝だけ…

売れ筋の商品をあらかじめ買い占め、高値で売りつける。 それが転売ヤーのやり口である。当然、欲しいと思っていた人々にも、販売しようとしていた業者にも忌み嫌われる。 だが、逆に考える…

明るい白を基調とした洋風の部屋。 部屋の主はたまねぎ頭のアノ人。 そこに至れば何人も彼女の質問から逃れることはできない。

ゾンビが万物の霊長となって、既に約100年。 若いゾンビも増えてきたので、ここいらで自分たちの歴史について振り返るのもいいでしょう。 てなわけで、さっそく本日の講義を始めまーす。

待つ時間が多かった。 見送りと出迎えの時ぐらいしか、あの人と顔を合わせることは無かった。 一人の時間を潰すのは得意だった。

統一歴１８６６年３月１３日、イルコフスカー劇場において武装組織による襲撃が発生。当日、観覧に来ていた公爵を始め２３名の政府高官及び外国要人、貴族等を人質として立てこもった。武装勢…

夏休みに大学の教授に連れられて来たのは古い伝承が残る山奥の秘境。 旧家である加地家の調査を手伝わされることになった五十嵐は不便な山奥での調査に四苦八苦する。 広く静かな古い家…

これを書いちまったら、ダメなんじゃない？ と、普通に思いましたが思いつかないもんは仕方が無いです。 ええ、言い訳ですが自らの企画を壊さないためにもなんとかするしかないんです。 今…

統一歴９８４年、第二次レジストラ城塞攻防戦。 この年最大の戦いとなった大戦は数で有利な帝国の勝利に終わろうとしていた。 ３年前の雪辱を果たすことを誓った帝国重装歩兵団の前に、赤門…

放課後の教室。 二人の級友が話すなんてことはない日常。 いつもと同じ光景でも、同じことを考えているとは限らないわけで。

この世で一番無力な存在、赤ちゃん。 この世で一番強い存在も赤ちゃんになってしまえば、怖くない。 この世の全てを赤ちゃんにすれば、平和なんじゃない？

ある買い物をするために店にやって来たあなた。 店主は海千山千のゴブリン。 あなたは目的のブツを賢く買い物できるのか？

運命を司る者がいたとして、その者はどうやって他者の運命を定めるのか。 定められた側に確かめる術があるのだろうか。 司る者も、定めた確証はあるのか。

時は現代だけど戦国。 そう、強き者が勝者で弱き者が歯医者じゃなかった敗者になる。 これは、ある若者が高い志をもって天下統一せんとする物語。 立て、若人よ。己が胸に頂点への執念があ…

テンプレトラック死亡からのワンポイント能力持って異世界にGO 可愛いヒロインとイケメンなヤローに囲まれて大冒険 悪の組織も滅ぼし天下統一でめでたしかと思いきや 黒幕の転生女神を滅…

一人暮らしの男が食事をする。 ただ、それだけ。

達人とは、たとえ専用の道具が無くても自らに課せられた責務を全うできるといいます。 ここにもそんな達人がいるそうです。

あるところに双子の絵描きがいた。 双子は様々な絵を描いたが、最も特徴的なのは絵を修正することだった。 だから二人が描いた絵は見るたびに違う絵になる。

説明しよう‼　読書妄想文とは、脳みそ残念な私が、好きな本を読んで残念なりにゾウリムシ以下の脳細胞を働かせて妄想してみた、あれやこれやを、一見考察風の文体で、好き勝手に書き殴ったも…

その魔女は魔法を求められると「そんな都合の良いものはこの世にない」と嘯いた。 魔女にはたくさんの生徒たちがいたが、生徒たちにも魔法を一切教えなかった。 魔女は知っていたのだ。 人…

これはいつかどこかの誰かが語り記したもの。 四つの文明が世界を争う時代に、山のような男がいた。 男はかつて戦に生き、今は『答え』を求め、隠者を探して旅をしている。 ある街で気まぐ…