『忍のお仕事』とりあえずは昨日投稿の九章最終話にて終了となります。
お読みいただきました皆さま、ありがとうございました。
さて、この作品では、忍たちの世界を少しばかりクリーンに描いてきました。しかし、本当の戦国時代の忍というのはゴロツキのような素行の悪い連中が多かったようです。
元は泥棒や強盗、詐欺師などを生業に生活していた者たちの鮮やかな犯行の技術が、敵への工作に使えると考えた大名たち武士が彼らを雇い入れていったものが、多くの忍の正体です。
例えば、風魔〈ふうま〉忍軍として有名な忍部隊は、北条氏が使った風間〈かざま〉という集団がモデルとなっています。
風間はあまりの素行の悪さから、派遣先からの苦情が絶えなかったようで、北条の武士たちは彼らを見下し、作戦を共にすることを嫌ったといいます。
侍には『武士道』があります。平安時代に現れた武士も、鎌倉・室町・戦国・江戸と時代によって侍の生活は変わっていきますが、それでも彼らは武士道という建前を掲げており、清廉に生きようという道徳観は存在しました。
一方、忍の『忍道』とは何か。
武士道が死ぬことなら、忍道は死なないこと、かもしれません。
なにせ忍は上記のようにゴロツキですからね、生きるために何でもやります。
そんなことを考えながら、忍のお仕事の九章の章題は【忍道】としてお届けしました。