豆乳鍋を父と母で囲んで、ぼくが、一旦、部屋に戻っていたら、叩き付けるような大雨が、閉めきった雨戸をランダムに打って、暴風に母屋が揺れて、一種、異様な空気感に包まれた。
スマートフォンには、重犯罪の見出しが垂れ幕のように並んでいて、社会派ミステリーさながらの演出も加算されている。
さっきまで、書の世界に浸かりつつも、内容に出入りできずに、焦れったい気持ちを抱え込んでいた。けれど、大阪のシティ感覚や、ゲレンデを上滑りしたクリスマスとは、様相を逸にしていて、地方の宿で年の暮れを過ごしているような、異世界というか、非日常のような心境に及ぶ条件下にあった。
近江か、琵琶湖に届くリーチではないけれど、戦後の高度成長の裏を突く、日本に備わる懐の深さが胎動している。