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教職で友達が

 私の他大学の友人にも、教職を取っている方が何人かいます。その中で「アビリティアチルドレンズ~幕間の譚~」にて出てきた掛瑠の回顧が生徒心理かなんかのレポート発表に使ってくれたみたいです。

 尚、光隆の父隆元は国防軍人(自衛隊から改変)でして教員が反自衛隊である恐れから、警視正に改変しました。
 以下当人の許可を取って小論文を引用します。

 「私はこの小説を読み、本人が多動により苦労している中で周りがより彼に責苦を与えている事と、それを理解していない厳格だが優秀な父と優しい兄を持っている事に対して、自分自身は不登校な劣等生であるという「刷り込み」がなされていると考えた。
 ある意味「困った子」な彼は先述の通り発達障害を抱えており、余りクラスに馴染めなかった。それが原因で不登校となったのに、その事さえも父のせいで「自分に非があった」と認識させられている。
 彼の精神を慮るにまず第一「猜疑心や人間不信気味、鬱病は、チャランポランで授業を真面目に受けずに、クラスの後ろの方で同類と共に、私に対して「真面目に発言しようとしているが言葉にしようとしたら吃ってしまった事をにヤジを飛ばす」ならず者」にいじめを受けた事。
 次に「過去に犯した事(約束を破った事実)は消えないぞ」と言ってる事から、彼は多動から来る逸脱行動(プリンターを夜に稼働させる、妹と喧嘩など)を行なっていると見られるが、より不安定にさせている要因として「高圧的で暴言暴力すぐに言い放った挙句すぐに突き放す態度を取る父」の存在も大きいのではないか。
 そして「それを伝えたが案の定突き放してきて「じゃあ学費払わない」や「やり方が気に入らないなら出て行け」と言った。母から見ても、この父の言動は冷酷すぎるとの事だ」と母も父に警告をしているが聞く耳を持たないという。
 だが、これは「窓ぎわのトットちゃん」の説明にあった通り「困った子」に対して大人からは「理解のない子だ・厄介者だ」というレッテルを貼られている事が伺える。
 また兄の光隆も宿題が夏休みでは終わらず、友達の所に泊まりがけで勉強を教わりに行ったと記されているが、勉強をする上での問題児だったと思われるが交友関係に支障はないようだ。

 私は、この件に関して彼が居て安心できる場所を作って、自己肯定感を高める指導が必要であったと考えている。
 周りに馴染めない子に嫌がらせを行う子供は後を絶たない。これは変わり者を排除するという生存本能からきているのか、面白がってやっているのかは分からないが、彼らのせいで掛瑠が学校に居場所を見出せないから不登校になってしまった。

 対して、学校としては嫌がらせを行う子供に反省文を書かせるなどの罰を与えるなどが必要であると考える。
 また、掛瑠という発達障害を持つ生徒に関して文中の「昔なら、私は父の真似をして殴っていただろうが、殴らなかったのは自身の成長を感じた」という文言から、癇癪は昔より鎮まってきた事が伺え、そこは褒めるべきであると思う。しかし「自分がされたのだから他人にしていい」と言う発想は危険であり、どうにか取り除く必要がある。

 次に父親に関して、警察という厳格な集団の中でもエリートなのであれば、あの指導方針になってしまうのは合点が行くが、より父親として掛瑠に鞭ではなく本人の良い点を褒めてあげる、「できない子」という認識から「これでいい」と改める事が必要だと思われる。だが教員としては、これが1番の課題であると思っている。
 また、小説での掛瑠の顛末として半年後に精神的に限界にまで追い込まれた掛瑠の自殺を弥隆が止めるシーンが入るが、兄としていじめに気づいてあげられなかった事に、今度は兄が罪悪感を抱いてしまっていると著者は語っている。

 そして、いじめというものは当該行為(いじめという名の嫌がらせ・暴行・言葉で他者を傷つける行為=名誉毀損?)などを行なっている加害側にとっては、それがいじめであると認識が欠如している。
 加害側にとっては、それを行うことや被害者がそれを受けることが当然の事の様に思っている。また、当の本人も兄にも相談出来なかった事からも、一人でなんとか解決しようとして加害側もこれに漬け込んでエスカレートさせてしまう。
 一時の指導(道徳やHRなどで)でいじめが鎮まらないのは、加害側の加害行為が悪い事ではなく「やってもいい当然の事に思っている事」即ち自分が犯罪を犯している事を認識していない事、そして誰かの密告でその子にまでも彼らの魔の手が降り掛かるかもしれないと言う恐れ(当人ならば被害が加速する恐れがある)が発覚を遅らせていると考えられる。
 以上の事から、かなり綿密にこの小説はいじめに関して描写していると思われる。」

 私としては、あの小説をここまで小論文に昇華させてくれた事を嬉しく思います。読者の一人でもある友人に感謝しつつ、近況ノートを〆させて頂きます。

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