「普段の源吾郎であれば、日曜日は外出して羽を伸ばす事が多かった。だが今日は本宅である研究センターの居住区に引きこもり時間を潰そうと思っていた。
それもこれも、昨日出会った八頭怪の存在に恐れをなし、警戒していたがための判断である。いかな源吾郎と言えども、八頭怪の恐ろしさ危険さは知っていたし、それ以上に紅藤が頼りになるとも思っていた。
源吾郎の今の住処は紅藤の膝元である。紅藤自身は八頭怪の方が自分よりも強いとは言っていたが、それでも他の所にいるよりはマシであろう。何より強大な力を持つ妖怪の庇護下にいるという点でもって、源吾郎は安心できた。
誰かの庇護下にある事で安堵するというのは、野心に満ち満ちた源吾郎らしからぬ考えかもしれない。源吾郎はしかし、今のおのれの心境については特に疑問は持っていなかった。末っ子であり末っ子気質の抜けない源吾郎は、必要とあらば誰かに甘え頼る事も辞さない男なのだ。」
九尾の末裔:最新話「若狐ひそかに貰うはまじないか?」
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追記:すみません、ノートを上書きしちゃったので修正しました。