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声のお話 

 「耳で聞く物語」が好きです。子供の頃は、芝居の録音やラジオドラマを、よく聞いておりました。マンガやアニメのお話CⅮも、結構聞いております。BLCDにもはまりました。
 「生活の設計」は、そういうものとして書き始めました。登場人物は全員、まず声を考えました。 
 藤原啓治さん。最初に思い描いた語り手は、この方の声を持っておりました。藤原さんが他界。イメージが膨らまなくなり、黒澤の頭のなかで消えてしまいました。
 じゃあ語り手はどの声で?その検討をしていた頃、「海の上のピアニスト」というイタリア映画を、吹替で見ました。主役の吹替は、三木眞一郎さんだった。この三木さんの声に、「あ」とひらめき、生まれたのが、ハスミンです。
 長い手足。小さな顔。エレガントで、何を考えているかわからない男。若い頃のジェレミー・アイアンズ?ロレンスの頃のピーター・オトゥール?いや「存在の耐えられない軽さ」の頃のダニエル・ディ・ルイスか。子供の頃はバリバリの美少女などと、三木さんの声を聴きながら、イメージを膨らませて、現在の語り手蓮實となりました。
 藤原さんがお亡くなりにならなければ、この物語、だいぶ違ったものになったことでしょう。
 今もその声を聞くと、この物語の最初のイメージが、切なく思い出されます。


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