本日更新分をもちまして「猫系男子のススメ あふたー!」完結いたしました。
お付き合いいただきまして誠にありがとうございました!
こちらの作品は恋愛コンテストに参加しよう!と思いもともとサイトで公開していたものを加筆修正してカクヨムさんでの公開に踏み切ったのですが、ご新規さんにも既に読んだことのある方にも楽しんでいただけたようで、本当によかったです。
改めて翠くんのモデルになった愛猫たちにありがとうと言いたいと思います(笑)
最後までお付き合いくださいましてありがとうございました!
下におまけを載せておきますのでよろしければお楽しみください。
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桜の花がすっかり散ってしまった。今年は残念なことに翠くんとお花見はできなかったなぁ、と思いながら帰路につく。
慌ただしい四月はもうすぐ終わり、世間はゴールデンウィークに突入だ。
「……翠くんに会いに行こうかなとも思ったけど……」
でも大学一年生のゴールデンウィークってそれどころじゃなかったと思うんだよね、と年上の彼女としての矜持が衝動的な行動を踏みとどまらせていた。
うちの家の合鍵は翠くんに渡したままだし、彼が使っていた部屋もそのままだ。もちろん家主の許可もとっている。翠くんのご両親が海外なのは変わらないし、うちでよければいつでも帰ってきていいよ、とそう言って返された鍵をもう一度渡すと、翠くんは照れくさそうに笑っていた。
翠くんのいない生活も早一ヶ月。
――思ったよりペットロスはひどい。
夏休みまでもたない気がする。ううーん、来月のどこかの週末にでも新幹線に飛び乗ろうか。そんなことを考えながら玄関を開ける。
「あれ?」
いつもさみしい玄関に、靴が一組。
「あきは!」
この一ヶ月ほど電話でしか聞けなかったその声は、歓喜に満ちている。
「みどりく、」
なんで、どうして、と問う暇もなく抱きしめられた。ふわりと香る彼の匂いに、ああ翠くんだと実感する。
「あー無理。ほんと無理。あきはが足りなくて死ぬ。死にかけた」
ぎゅうぎゅうと遠慮なく抱きしめてくる翠くんに、くすくすと笑いながらその背に手を回した。飼い主と猫は似るっていうけれど、こんなところまで似なくてもいいのにね。
「おかえりなさい、翠くん」