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涙月 ストーリーに絡まない設定② ~赤の国の王位継承問題~

●赤の国の王位継承問題

赤の国グレイスは、長い歴史の中で、
ものすごく面倒臭い王位継承のルールが出来上がっています。

赤の国は好戦的な性質を持つ民族であり、
六色の聖戦後、
文官が軽んじられ、武官が重用される時代が長く続きました。
戦ばかりで内政を蔑ろにしては色々と立ち行かなくなるので、
文官の発言力も強めたい、と赤の王族は頭を悩ませていました。

そこで、とある時代の女王が思い至ったのが、
「自分が文官と結婚する」という手段でした。
男王が文官、次の女王も文官の子、となれば、
文官の立場も少しは強くなるだろう、という考えです。

もちろん、文官達からは大いに歓迎され、武官達からは大顰蹙を買いました。
文官の地位は向上しましたが、武官と文官の軋轢は増す一方。
当然、双方が「次の王配を自陣営から」と主張するようになり、
収集がつかなくなり、刃傷沙汰にまで発展する始末。

その後、
武官→文官→武官→文官と順に王配を選ぶ取り決めになったものの、
それでもまだ不平不満が多く残ったので、
双方が納得するように意見を取り入れていった結果、
最終的に、
・女王は、武官と文官から一人ずつ王配を選ぶ。
・第一子は、今代と逆陣営の王配との間に設ける。
・第二子は、今代の陣営の王配との間に設ける。
という、女王の自由意志を排した重婚ルールが出来上がり、
これが「涙月」の物語の時代にまで続いています。

「涙月」の時代で名前の出てくる赤の王族は、
 女王:セシリア(父は文官)
 ├第一王女:ティニア(父は武官)
 └第二王女:クレミア(父は文官)
となり、ティニアとクレミアは種違いの姉妹です。
女王セシリアにも妹はいますが、作中では存在すら語られません。

「陽の章 第五項 ~諍宴~」にて、
クレミアがティニアの王位継承を是認していないという描写がありますが、
彼女は、このルールも自分達の代で変えられないか、などと考えていたり、
割と過激な思想の持ち主だったりします。

というわけで、
昔HPで書いてた頃は完全な裏設定で、
本文中では全く触れもしなかったのですが、
リメイクにあたって、本文でも断片的に触れることにした、
話の本筋には全く絡んでこない設定の話でした。
こういう設定を考えるのは凄く楽しいですね。

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