• 現代ドラマ

8月5日

ボクは嬉しくなって、泣きました。今も感情のバランスがおかしく、笑っても怒っても涙が出てしまいます。だけど、涙が出るぐらい心が揺れたのです。

陽茉莉ちゃんだって、相当我慢していたはず。罪悪感だけじゃなく、自分も受けたからこそ知っている痛み、辛さ。全てはボクに謝るために。その想いが実現しそうな目の前で我慢出来るわけもありません。

大人二人でワンワンと泣きました。直ぐに両親が出てきて、何も言わずに見守っています。

「ごめんね、ごめんね…!謝りたかったし、直ぐにでも行きべきだと思ってた…!だけど怖かった。自分自身の弱さに勝てなかった…!」
「…うぐっ、い、…っひ、気に……してぇ…ぐっ!……な…っいっ!」

流石に泣いてきた年数が違います。子供でもここまで泣きじゃくらないぞと言いたくなるほど思い切り泣きじゃくるボク。これでも社会人。
当たり前のように会話になりませんが、少し経ってお母さんが切り出します。

「…家でゆっくり話しましょう?外じゃ暑いしね?」
「それに佳乃も泣き過ぎて恥ずかしいからなぁ…こりゃ明日から近隣の噂のぐふっ!?」
「要らないことは言わない。今いい所なの。邪魔するなら出ていきなさい。」

こっわ…若干ボクの涙も引っ込みました。特に財布から1000円取りだして無言で差し出してある辺り怖いです。1000円やるから外で遊んでこいということだろうか。

付き合いの長いお父さんは無言で家の中へと入ります。まあああでも言わなかったらボクは止まらないでしょうし。わざと犠牲になってくれたのは分かってはいますが口には出さない方向で。

それから落ち着いて4人で話し合いました。流石にプライベートな話なので書けませんが…
誠意は伝わったと、ボクも許すならそれでいいとなりました。

はっきり言って、ボクにしていたいじめの数十倍を陽茉莉ちゃんは受けています。高校三年生の頃、再び出会った時には相当心もズタズタだったに違いありません。
というか、いじめなんかじゃなくて、人権の侵害です。ボクは陽茉莉ちゃん以上に許せませんし、許しません。また、お話しますが、ボクとは違う痛みを、苦しみを味わっていた事を知って欲しいです。一応陽茉莉ちゃんにも書くかもしれないことは伝えておきましたが、口ではいいと言っても明らかに心の傷が疼いているのを感じました。ボクになにか、出来ないでしょうか。

という事で、この後正義に陽茉莉ちゃんの事、打ち明けてみます。もし正義の心が揺れないなら…ボクは正義との付き合い方も考えなくちゃいけないのかも知れません。あの人はどうだから助ける、この人は助けなくていい…そんな風に分けたくありません。傷ついた人に分け隔てなく寄り添えるのが、ボク達周りの人間の役目だと思いますから。

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