雨色銀水

大陸全土を巻き込んだウルフガンド魔法大戦より五年――。 最終決戦の地となり、多くの人命が犠牲になった爆心地に新聞記者である『私』はやってきた。 戦争の爪痕が残る爆心地にて取材を始…

『わたし』は金耀樹《きんようじゅ》。世界の上に根付いた一本の古木だ。 長い間、わたしはひとり佇むだけだった。何も変わらない日々、音もなく流れていく季節。これからも変わらず静かであ…

「ああっ、なんて麗しい装丁……す、スリスリしたい！」 交易都市ソレル大公の令嬢『小公女』リゼットは、『本の装丁好き変態公女』と呼ばれていた。 しかし――そんな不名誉な呼び名もな…

『僕』こと『ドゥセル・サイレントビナー』は、しがない錬金術師見習いだった。 聖王歴１９２７年１０月末日、僕は死んだ。 単純な事故死だった。伝説の霊薬『エクリサ』の調合のさなか、…

やさしい時間を残すために、名もなき君へと贈る物語。 ※第一部「君と過ごしたなもなき季節に」編あらすじ※ 過去に罪を犯し、森に幽閉されていた魔法使いはある日、ひとりの子供を拾う…

とある町の暮らすシスターはある寒い朝、教会の前に捨てられていた子供を見つける。 子供を捨てた親に憤る彼女に、教会の神父は静かに語りかける。 「親とともにいることで子供の未来が閉…

雪の館で起きた惨劇……犯人はいったい誰だ？ 雪の日に残された足跡は、なにを意味しているのか。 ※犯人当て用の出題付き。 叙述トリックの壁をぶち抜けるか？

異世界転移を果たした少女「美月」が、二度と自分の世界に戻れないことを自覚して、世界に決別するまでのお話。

霧の町ロンデルを騒がす一つの存在があった。 怪盗ミストヴァルトーー百年以上前から帝国を騒がす謎の怪人は、今日も今日とて華麗に盗みを働く。 盗み出すものはすべて、魔法の力を持った…

美しい花姫は敵国に囚われ、水牢に幽閉される。 小さな希望さえも奪われた彼女の上に、わずかな光が降り注ぐ。 囚われた世界で見る光は、あまりにも美しい。 ――過去作短編。よろしけ…

――人は誰しもエゴを持つ。それが時として偽善となり、誰かを傷つけた。 石喰いは、旅を続ける一族だ。彼らは他人のの傷や痛みを石に変えて、それを食べることで生きている。痛みを…

人魚姫症候群―― いつしか世界には、そんな病が蔓延していた。 「一番大切な人のことだけ忘れてしまう」 大切に思えば思うほど、心を込めれば込めるほどに、記憶は泡のように儚く消えて…

居酒屋『焼き鳥』――。 そこは動物たちのオアシスである（本当か？）

『瓶の中に、夜の空を描き出し、その中に船を浮かべよう。 　そうすれば、ほら。まるで瓶の中は、閉じ込められた宇宙に見えるだろう？』 　かつて父は、星空を見上げながらそう言って笑っ…

世界大戦によって多くの人々が死に絶え、『わたし』はただ独り都市に取り残された。 『エデン』。背中に翼を持った少女は、何十年も帰らぬ人を待ち続けていた。死ぬこともできず、ただ生き…

空へ飛んだ少女と、彼女を追いかけようとする少年。 そして彼を引き留める『私』は、屋上で思いをぶつけあう。 これはきっと、あなたには届かない。 小さな恋と喪失のおはなし。