『ガラスの街』(ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮文庫)
「文学」に敷居の高さを感じる人って多いと思います。私もそのひとりですが、これが海外文学となると異世界の出来事のようで……。
この本は、平野啓一郎の本の中で、ポール・オースターが取り上げられていなければ、いまもその存在を知らなかったと思います。
おもしろいかと聞かれたら
「よくわからない」
と答えるでしょう。
じゃあ、おもしろくなかったんだねと念を押されたら
「……」
沈黙してしまいそうです。
一言でどうこう説明できる読後感ではないのです。
言葉にできないけれど、「これは読んだ人のなかに、新しいなにかを植え付けるだけの魅力を備えた小説だ」という感じはします。
目をそらせない、なにか、です。
ああ、あとこれを読んだ後、「もっとニューヨークやアメリカの文化、キリスト教についての知識があれば、もっと楽しめたのになあ」と残念に思いました。