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モノノ怪 唐傘 と ラストマイル の共通点

 最近『劇場版モノノ怪 唐傘』と『ラストマイル』を立て続けに観ました。ストーリーも世界観も全く違うこの2作に共通点を見つけたので、覚書としてここに残したいと思います。

 初めに2作を少しだけ紹介します。

『劇場版モノノ怪 唐傘』
 モノノ怪とは、妖と人の情念が合わさることで生まれる存在。
 今作の舞台となる大奥は、そこで暮らす女たちの情念が渦巻く世界でもあります。大奥の新人、アサとカメはその情念や因習に揉まれながらも大奥で暮らしていくべく奮闘していますが、謎の男、薬売りがやってきて物語は一気に動き出します。

『ラストマイル』
 舞台は、超大手ショッピングサイト、デリファスの巨大物流倉庫。
 センター長に就任した主人公のエレナは、ブラックフライデーを前に、倉庫から発送された荷物が爆発するという事件に直面します。止めることが許されない物流、爆発し続ける荷物。エレナは、チームマネージャーの孔と共に、未曽有の事件へと立ち向かいます。

 一見、全く違う物語ですが「組織の中で働く人」が主人公であり、「組織の維持と個人の意思の対立」という部分でも一致しています。

 唐傘では「大奥のため」という言葉が頻繁に出てきます。個人の意思は大奥を維持するために潰され、弱い人間は淘汰されていきます。

 一方ラストマイルでは「すべてはお客様のために」というマジックワードが出てきます。このマジックワードが厄介で、社員は物流を止めないよう心血を注ぎます。その維持のために個人の意見は無視され、末端の人間への圧力が大きくなっていきます。

 組織の維持という重圧は立場が上がるほど大きくなり、反比例するように個人の意思は軽視されるようになります。それは下の人間への対応だけではなく、自分自身をも蝕んでいくものだと感じます。

 無意識に組織のための選択を行い続け、やがてそれが自分の意志だと勘違いするようになるんじゃないでしょうか。抗うには相当の気力が必要なのだと思います。

 今回、たまたま2作品を連続して見たことで、新たな知見を得ることができました。
 現実世界でも、会社や国という組織に所属する以上、自分の意志以外の所で動く必要は出てくると思います。そんなとき、ただ従順に行動するのではなく、たとえ選択する行動は同じだとしても自分の頭で考えて動きたいと思いました。

 考えを放棄し続けると自分の立ち位置にすら気づけない可能性がある。そのことに気づけた体験でした。

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