ふなぶし あやめ

　この世には、奇妙な薬があるらしい。 　森に住む妖精が、時折人里に降りて渡してくれるその薬は、瓶入りの「記憶」。 　それを飲めば、致死量になるほどの享楽を味わえるという。 　　…

文芸部の男子高校生が、想い人といつもの自習室で、いつもとは少し違った時間を過ごす話。 ――――――― カクヨム様、５周年おめでとうございます。 KAC2021参加作品。…

小さい頃から、ケーキ屋さんで見てきた魔法。 今となっては、私も魔法が使えて。私の魔法で喜ぶ人たちが、お返しに私に魔法をかけてくれる。 そんな、とても些細なエッセイです。

　若くも老いても見える黒髪の女、エリカ。愛馬のリンドと共に、寄った場所からすぐに立ち去ることもあれば、滞在することもある、気の向くままの旅をしていた。 　彼女らの旅は、気ままで優…

結婚式の控え室。母と娘のふたりきりの、特別な時間。 純白のドレスは現実味がなく、だからこそ私は今までのことを思い出していた。大好きな父と母のことを。 ――― KAC9参加作品…

穏やかな草原の中、ぽつぽつと木々が立っていた。 人種も年齢もバラバラの四人は、「苗を植える」という仕事があって―――。 ――― KAC7参加作品。カクヨム様、三周年おめでとうご…

非日常の、光景。それは暗い寝室で起こった。 まるで、作り話のようだ、と男が思うほどに。 ※殺傷シーンがあります。苦手な方はご注意ください。 ――――― KAC6参加作品です。…

手紙が書かれなくなった、遠くない未来。 見知らぬあなたへ、手紙を書いてみる。 ――――― KAC4参加作品。 カクヨム様、三周年おめでとうございます。 ※前作読み切り「あな…

おそらくちょっとだけ近未来。 手紙なんて、廃れてしまった未来。 それでもきっと、紙で出す「手紙」に憧れて。 もしかしたら、未来のあなたかも―――なんて。 半分エッセイのような、…

とある情報屋に少女が尋ねる。 ――"口紅"について教えてほしい。 宝石に関する情報のみ扱う変わったその情報屋は、"口紅"と呼ばれる二つの宝石にまつわる話を始めた――。