『木曜日の皇帝』七章挿絵

大都市の真ん中で怪獣『ネクスト』が鎮座していた。
 その背からは六本の甲殻類の爪のような節足が放射状に展開されておりそれらがスパークを放っている。
ネクストは海から上陸して歩いてきたらしく海の方に潰された車や建物が粉々の砂利にされている一本の道が見えた。
だが怪獣は都市の真ん中で立ち止まりそのまま動かない。
 世界を俯瞰している。
 なにもしていないのに。そこに立っているだけなのに。
 狭いエデンの庭で阿鼻叫喚する無知で無力な人類を眺める神が如く。
 ただ、君臨していた。

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