「カバチ垂れんなヘタレが」
さっきまでの怒鳴り声とは違う。言って聞かせるような声。
「家族に襲われた? 目が見えない? オレが怪我をしただ? 関係ねえ」
胸ぐらを掴もうとして、失敗した。剣次のTシャツの襟を何度も握りなおし、ついに力と勢いをこめて吊り上げる。
「お前は何をしにここに来た? オレの援護じゃろうがボケ。それ以外どうでもええんじゃ!」
目と目が合う。
「ええか。ここまで来て一人でテンパってんじゃねえ。そんなに見えなくて困っとるんならなァ!
――――オレがお前の眼になってやる!」
頭突きをかますかの勢いでまくしたてて、突き放した。
いきなり手を放されたので剣次は突き放されたままに尻餅をつく