カーテンの隙間から刺さる、午前五時と思えぬほど鋭い蜜柑色の朝日にこめかみを焼かれながら男は呟いた。
「書いてないわけじゃない」
「このゲームが面白すぎるだけ」
「書けなくなってない」
「このゲームが面白すぎるだけ」
「書けるもん。俺書けるもん。ちょっと休み、サボってない」
「このゲームが面白すぎるだけ……ただそれだけ」
膝元には蝉の抜け殻を思わせる色合いのボトルコーヒーとミルク代わりの低脂肪乳が無数に横たわり、
(それ動物に見立てるのムリくない?)
な星座あるあるの様な、奇妙な図形を象っていた。
俺悪くないもん。
このゲームが面白すぎるんだもん。
幸福とは自制の柵をたやすく飛び越える地平の向こうにあり、その原野にこそダイモーンは舞っている。
美酒を醸しながら、あなたを待ちながら。
……なんだコレ