むかしむかし、とあるせかいに、とってもつよくておおきな、怪獣ギャオンがすんでいました。
怪獣ギャオンが、がおんと口からひをふいて、どしんとじめんをふみつけると、どかんとかざんがばくはつし、ずしんとじしんがおきました。
ある日、怪獣ギャオンはふとおもいました。
おれはとってもつよくておおきい。
だからおれはきっと、せかいいちえらい。
ようし、それをたしかめよう。
そして怪獣ギャオンはたびにでました。
怪獣ギャオンがさいしょにあったのは勇者でした。
勇者はするどいつるぎとがんじょうなたてをもっていました。
怪獣ギャオンとであうなり、勇者はおおきなこえでさけびました。
「やい、そこの怪獣め。この勇者さまがたいじしてやる!」
でも怪獣ギャオンはフフンとはなでわらって、かみなりのようにどなったのです。
「やいやい、ちっぽけな勇者め!この怪獣ギャオンががおんと口からひをふいて、どしんとじめんをふみつけたら、どうなるかわかっているのか!」
勇者ははないきでふきとびました。きゃああとひめいを勇者はあげて、にげていってしまいました。
怪獣ギャオンがつぎにであったのは神様でした。
神様はキラキラひかるりっぱなかっこうをして、エヘンエヘンといばっていました。
怪獣ギャオンとであうなり、神様はいかめしいこえでつげました。
「おお、そこの怪獣よ。この神様がやっつけてやろうぞ!」
でも怪獣ギャオンはフフンとはなでわらって、かみなりのようにどなったのです。
「やいやい、いばりんぼうの神様め!この怪獣ギャオンががおんと口からひをふいて、どしんとじめんとふみつけたら、どうなるかわかっているのか!」
神様ははないきでころんでしまいました。うわああとひめいを神様はあげて、にげていってしまいました。
怪獣ギャオンがさいごにであったのは、なまえもない雑草でした。
なまえもない雑草は、しずかにじめんにねをはって、ちいさなはなをさかせていました。
怪獣ギャオンとであうなり、なまえもない雑草はこんにちはとあいさつをしました。
「こんにちは、怪獣ギャオンさん。ぼくはなまえもない雑草だよ、よろしくね」
怪獣ギャオンはちょっとだけおどろきました。だれかからこんなにやさしくあいさつされたのははじめてだったからです。
「なんだ、おれは怪獣ギャオンだぞ!おまえはおれがこわくないのか!おれががおんと口からふをふいて、どしんとじめんをふみつけたら、どうなるかわかっているのか!」
「うん。ぼくはよわいから、ギャオンさんにはかなわないよ。でもね、ぼくはなんどだって、ふみつけられていじめられても、またたちあがって、ちいさなはなをさかせるよ」
もっともっとおどろいて、怪獣ギャオンはだまってしまいました。
むむむ。こまったぞ、こまったぞ。
おれは勇者も神様もこわくない。
かえりうちにしてやった。
だけれどこのなまえもない雑草は、おれをちっともこわがらない。
おまけにおれにやっつけられても、なんどだってたちあがる。
むむむ。これはたいへんだ。
おれはきっと、このなまえもない雑草には、いつの日かやっつけられてしまうぞ。
どうしよう。
どうしよう。
そうだ!
そうしよう。
いいことをおもいついた怪獣ギャオンはいいました。
「よう、なまえもない雑草、おまえとともだちになろうじゃないか」
「ともだち?うわあ、うれしいなあ!よろしくね、ギャオンさん」
そして二人は友達になりましたとさ。
めでたしめでたし。