ある日アリアメルがラッツの服にワッペンを縫い付けてくれた。(ニナとステラの服はフリフリが多くて断念した)
じーっと着ている服をひっぱりながら、胸の部分に刺繍された可愛い犬のワッペンをキラキラした目で見つめるラッツ。
かなり気に入ったのだろう。
その姿を嬉しそうに見つめるアリアメル。
やがて俺のところへと服をぐいっと引っ張りながら見せに来た。
「良かったなラッツ。でもあまり引っ張ると服が伸びるぞ。折角アリアメルが犬さんをつけてくれたんだから大事にしないと駄目だぞ?」
俺がそういうとコクコクと頷いてから、此方へと両手を伸ばして抱っこを要求してきた。
よし、任せろ。お父さんは魔法と抱っこは得意なんだ。
俺が抱き上げると、ラッツがニコニコしながら近くでワッペンを見せてくれる。
こんなに喜んでくれるとは。
刺繍したアリアメルも、刺繍してもらったラッツも、こうして見ている俺も幸せな気分になれる。これが聖女のワッペンの力か……!
抱っこしていたラッツが何かを思い付いたような顔をしていたので、床へと一度降ろす。
そのままリビングの隅でお昼寝中だったミミへと近寄りワッペンを見せるラッツ。
ミミはというと、チラりとラッツへと視線を向けたが興味が無かったのか直ぐにお昼寝を再開した。
それでも満足そうな顔をしていたラッツは、一度小さな欠伸をしてからミミへと抱き付いてお昼寝モードに。
……うーん。床で寝るのはちょっと困るな。
一人と一匹をまとめて抱き上げてからソファへと運ぶ。
抱き上げた時は迷惑そうにしていたミミが昼寝を再開。暫くの間ミミにピッタリとくっついて寝ているラッツに毛布を掛けて幸せそうな寝顔を眺める。
……なんか俺まで眠くなってきたな。
よし、俺も少し寝るか。