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街コン作品①:永遠の辰子姫【感想・解説】

■まずは街コン作品の一作品目『永遠の辰子姫』についての感想

 観光地だし、神話そのもののドラマ性が強いので小説映えするだろうな~と思って辰子姫伝説をモチーフに書いてみたのですが、思いのほかごちゃごちゃした出来になってしまいました。

 本来ならば5、6000字のところを無理やり2000文字に圧縮したような文章でちょっと消化不良感が個人的にはあります。
 それでもオチは結構気に入っていますね!



 さて、この小説の元になった辰子姫伝説についてですが、2000文字の制約もあり結構はしょってしまったのでここで詳しく解説してみようと思います。


■『辰子姫伝説』について

 "むかし、安倍三之丞の娘・辰子という稀に見る美貌を持った娘がいた。
 年頃になった辰子は自分の美しさを永遠のものとしたいと思うようになり近くの大蔵観音に百日詣りの願を・・・。

 そして満願の夜、観音様の御神託により北の山を越えていったところに清い霊泉がありそれを飲めば願いが成就するとのお告げが。
 辰子はその泉へ向かった。
 その泉には美しい岩魚が住んでいて、それを捕らえて食べた途端絶えがたい喉の乾きが辰子を襲う。
 泉に手を差し入れ、水をすくって口にするが一向に乾きは癒されない。
 たまらず腹這いになり泉に直接口をつけてがぶがぶ、がぶがぶと飲みつづけた・・・。

 すると・・・、辰子の身体は見る見るうちに大きな竜に化身。
それと共に天地鳴動、山が崩れ谷を埋め水が溜まり大きな湖が・・・。
 竜になってしまった辰子はこの湖に入り、そしてここの主となった。

 このことを知った辰子の母は岸辺に松明りをかざしながら名前を叫び続けた。
 その声を聞いた辰子は湖面に姿を現し「私の願いはかなった。永遠だ。」と言い、そのまままた水中へと姿を消していった。
 母は悲しみ「情けないことよ・・・。」とかざしていた松明りの燃えさしを湖面に投げ捨てた。
するとその燃えさしに見る間に尾びれがつき湖心に向かって泳いでいったという。

 これが木の尻鱒(きのしります)。昭和15年に玉川毒水を水力発電のために引き込んだがためにそれ以来絶滅してしまった田沢湖固有魚「国鱒(くにます)」である"

(『辰子姫(たつこひめ)伝説』http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Rally/4569/tatukohime_densetsu.htm より)

クニマス関連の話とか、本文中では字数の関係でまるまる省いてしまっています。
でも、このクニマス関連で実は面白い事実あるのです……!


■絶滅したクニマスとさかなクン

 クニマスが絶滅したと参考にしたページには書かれていますが、最近さかなクンが、この絶滅していたとされる幻の魚クニマスを見つけたことでも話題になったのです。

”クニマスとはなにか? サケの仲間で漢字では「国鱒」と書く。世界中でただ一ヵ所、秋田県の田沢湖にだけ棲息する固有種で、成長すると全長が30センチほどに なる黒色の淡水魚である。ただ、70年ほど前に田沢湖を水力発電に利用しようと、近くを流れる玉川の水を流入させたところ、水質が酸性に変わって しまったために絶滅し、地球上から姿を消してしまったと考えられていた。

 しかし、それが田沢湖から500キロも離れた山梨県の富士五湖の一つ「西湖」(さいこ)で生き延びていたことが確認されたのである。幻の魚と言われ た絶滅魚が生きていたのであるから驚きだ。どうやら、田沢湖の孵化場から65年ほど前に、西湖漁業組合に送った卵が孵化し生き延びていたようである”

(『さかなクン絶滅魚発見!! http://www.y-asakawa.com/Message2010-2/10-message94.htmより)




 うーん、おもしろい!
 つぎに、本文でもちょこっとだけ触れる八郎太郎伝説についても解説しようと思います


■八郎太郎伝説

”今の十和田湖の近くに「八郎太郎」という力が強くたくましいマタギの若者がおりました。母親は太郎が生まれた時に亡くなり、父親は龍に変化し寒風山になったということです。

 ある日、仲間と仕事に出かけた時のことです。見たこともなくとても美味しい魚を食べてしまった太郎は取ってあった仲間の分まで全部食べてしまったのです。次第に喉がひりひりしてきました。川岸に下りた太郎は水をがぶがぶと飲んだのです。

 すると八郎太郎は龍へと姿を変えてしまったのです。嘆き悲しんだ太郎ですがそこに十和田湖を作り主として住むことにしました。

 長い年月がたったある日。南祖坊という坊さんが現れ太郎に戦いを挑みました。そして7日7夜の戦いの後太郎は敗れてしまいました。
 その後転々とした太郎は海に近い鹿渡という村にたどり着きそこに住む老夫婦に手厚くもてなされたのでした。

 本当は老夫婦の家を沈めて大きな湖を作ろうとしていた太郎ですが、良心に目覚め老夫婦を助け日本で二番目に大きな八郎潟ができそこの主として住むことにしました。
 八郎太郎は八郎潟の主として、辰子は田沢湖の主として離れて暮らすのですが、後にその美しさの噂を聞き田沢湖を八郎太郎が訪ねることになります。
 そこで八郎太郎は同じく噂を聞きつけた十和田湖の南祖坊と再度対決し、今度は勝利を収めます。

 そして今でも八郎太郎は冬になると田沢湖の辰子を訪れ一緒に冬を越すため、田沢湖は冬でも凍ることがなく、八郎潟は凍りに閉ざされてしまうという言い伝えがあります。”

(『秋田県観光ガイド』よりhttp://www.akita-train.jp/minwa/


■三湖伝説

最後にWikipediaより……

”三湖伝説(さんこでんせつ)は青森県、岩手県、秋田県にまたがる伝説。主に秋田県を中心として語り継がれている。異類婚姻譚、変身譚、見るなのタブーの類型のひとつ。各地にこの物語が残されているが、細部は異なっている。”

どうやら辰子姫や八郎太郎の伝説はまとめて『三湖伝説』と呼ばれているよう。

”この三湖伝説は、実際に起きた自然災害との関わりが指摘されている。
 915年十和田湖にあった火山は2000年来最大とも言われる大噴火を起こす。この噴火によってもたらされた噴火降下物は各地で堆積し、自然のダムを造った。
 ダムは周囲を水浸しにしながらも最終的に決壊し、各地で大洪水を起こす。秋田県北秋田市の胡桃館遺跡もこの時の洪水によって地下に埋まった遺跡である。
 そして、まさにこの被害を受けた地区に八郎太郎の伝説が残っているのである。
 たとえば、南祖坊と八郎太郎の七日七晩の戦いは、稲妻を投げ合ったり、法力を駆使したりの壮絶なものであるとする表現があるが、これが十和田湖火山の噴火の様子を記述しているという人もいる。
 また、七座山の伝説に残っている「白鼠」は火山降下物が堆積し流れ下るシラス洪水なのではないかと指摘されている。”


 実際にあった出来事が元になっているとか……めっちゃ壮大!!


”文化面を考えると、八郎太郎は色々な伝承があるが、いずれにせよ蝦夷系の仕事をする若者とされる。
 また辰子姫はアイヌ語語源の「タプコプ」(平野の中の小高い丘・たんこぶ山)が元になっているので、これもまた蝦夷系である。
 対する南祖坊は9世紀南の方からこの地区に来た、天台宗の坊主を象徴している。
 物語は恐ろしい自然災害を法力で鎮めてくれた南祖坊を描写しつつ、何やら八郎太郎に同情的でもある。”


え……!?辰子姫はアイヌ語が語源だったんすか!?
この説ははじめてきいた!!


 伝説や民話系は調べてみるといろんなことが分かってきますね!
 面白いです~!
 みなさんもぜひ、地元の神話・伝承を調べてみては??


※永遠の辰子姫
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881889246
読んでいない方、この記事を読んで読み直してみたくなったかたは是非!

 

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