心霊主義や黒魔術、ニューエイジ、思想、政治団体等、ディープ・カルトの歴史的潮流と、それらと深い関わりのある音源のガイドで構成された一冊。まずはその深くて広い膨大な知識量に圧倒される。
著者がこの分野に興味を抱いたきっかけはサイキックTVという音楽と同時に宗教活動も行っていたバンドの存在だったそうだが、他にもナチスやネオ・ペイガニズムのデス・イン・ジューン、ロシア仏教のプルハ、民族的アナキズムなH.E.R.R.等々、政治性や宗教色の強いバンド、ミュージシャンは少なからず存在しているという。それは、〝音楽に政治を持ちこむな〟等と今や周期的といってもいいぐらいに毎度毎度騒ぐ〝だけ〟の日本と違って、あちらはそれだけ日々の生活に政治や宗教が密接に関わりあっているが故にだろう。
それはそうと、本書にはイルミナティ陰謀論の火付け役的人物ロバート・アントン・ウィルソンも取りあげられているのだが、たまたま同時期に購入した古雑誌「日本版スターログ」の1979年8月号の安田均の連載記事にその当のウィルソンが紹介されてたりして(購入動機は生頼範義の特集で、件の連載はまったく知らなかった)、そのあまりの偶然ぶりにこれっていわゆるシンクロニシティー?とか思ってしまったw