取り敢えず回ってみて思ったことは、自分を安売りするのは止めようということだ。
寿司になってしまったのは仕方のないこと。なら、どうせなら回らない高級寿司を目指すべきだ。
しかし思えば、高級寿司というのは何を以て高級なのだろう。ネタの鮮度?シャリの固さ?職人の技量?
いずれにせよ、既に寿司として成立してしまってからは、変えようのないものばかりだ。それどころか、時間が経つごとに鮮度的に不利になっていく。一日も経てば、スーパーで『半額』『本日中にお召し上がりください』とシールを貼られたパック寿司以下に成り下がる。
そうなる前に、魔王を倒さねばならない。
「無理だこれーーー!」
俺は叫んだ。寿司なのにどうやって叫んだのか自分でも疑問だったが、もしかするとこの世界での寿司はしゃべれるものなのかもしれない。
そうだ。まずは、自分を知ろう。この体についても謎だらけだ。何か都合のいい、ステータス的なものがあると良いんだが…俺はまず、自分が何寿司であるかすら、よくわかっていないのだ。
少し念じると、頭の中にステータス表らしきものが思い浮かんだ。
レベル1
職業:すし
スキル:
備考:食べるとHPが回復します
……本格的に寿司だということだけがわかった。