【空】
きょうは
とってもかなしいことが
あったんだ
いえをでて
こみちをぬけて
はしをわたり
たんぼのあぜみちや
みかんばたけのなかを
うらやまのてっぺんまで
ぼくはあるいた
やまのうえにつくころには
ぼくはへとへとで
おおきないわにねそべった
きょう
ぼくのだいすきな
おばあちゃんが
てんごくにいったんだ
あのそらのむこうに
てんごくがあるって
おとうさんはいった
おばあちゃんはさいご
まっしろで
なにもいわずに
すこしだけ
わらってた
やまのうえで
みあげたそらは
くもがあるだけで
ほかにはなにもなかった
おばあちゃんが
てんごくでさみしくないか
しんぱいだ
ぼくはむねがあつくなって
ちょっとだけないた
だって
おばあちゃんが
なくんじゃないよ
おとこだんべ?って
いってたから
ぼくはちょっとだけないて
がまんした
ぼくは
おばあちゃんじまんの
おとこだからね
がまんしたんだ
あきのそらはたかい
おばあちゃんが
とてもとおくにかんじる
だけど
とってもおおきくって
ぽかぽかあったかい
まるで
おばあちゃんのようだ
まぶしいおてんとさまは
おばあちゃんがわらってるみたい
そうおもった
ぼくはまだちいさい
そしてよわむしだ
くよくよないてちゃ
おばあちゃんに
わらわれる
あのそらのように
おおきくなって
あたたかくなって
あのおてんとさまのように
おばあちゃんのように
いつもにこにこ
わらっていられるように
ぼくはつよくなりたい
いつのまにか
おてんとさまがかたむいて
ぼくのいえのほうを
てらしてる
おばあちゃんが
もういえにかえれって
いっているみたいだ
ぼくはおきあがり
ちからづよく
あるきはじめた
─おわり─