あの頃、珈琲館系CAFE DI ESPRESSOの飯田橋店に毎週末通っていた。今はもうそのカフェはない。随分前に行ったら長崎チャンポンのお店になっていた。
飯田橋駅付近である。専門学校が近くになった。
通りに面してガラス張りのカウンター席でiPodを防音にパワーブックPISMOでブログの記事を書いていた。あの頃..。
ある日、テーブルに座っていた中年女性が床に倒れた。鈍い、物がつぶれたような異音とかなり振動があった。
「あっ!」
後ろに振り向くと女性が倒れている。すぐ店内にいたジェントルマンが応急措置を行う。
「119番に連絡しなさい」
要領得ないバイト店員が上擦った返事をする。仲間と早口に喋りあう。
どうやら脳に疾病でもあるのか。ジェントルマンは「そのまま..救急車がくるまでそのまま..」
僕はそのまま、そのままと呟きながらパソコンの画面を見ながら固まった。
横にいた女子大生の女の子と目が合っても首を振り合うだけだった。とても可愛い子だった..。
長い..。女性はそのまま死体のようにそこに俯せのままだった。
遅い..。救急車はまだか。5分たっても..10分たっても..。
そこへ「チンチンチン..」
赤い巨大な車両が現れた。消防車である。
救急車と同じく緊急発進するらしい。
防護服の隊員が入って来たしかし..待っている。救急車の到着を。
もうかなりのギャラリーである。ガラス張りの向こうは何十人の大群衆が集まる。
僕たちは身動き取れない..。このまま、永遠に..。