今回は文化教養から二冊です。
『[モノ]の世界史』宮崎正勝
広義の意味合いでの「モノ」、生活習慣、巨大な装置・システム・道具など人類が創造したあらゆる「モノ」の生成、伝播、変容をつないで世界史のアウトラインを叙述していく試みの一冊です。
前回紹介した『世界はいっしょにまわってる』と同じように「モノ」で世界史をつなぐという印象です。これ、あまりに説明が詳細で多岐にわたってるので、4週間かけても半分しか読めませんでした~。気になる箇所は何度も読み返さないと覚えられない。しょーもないです。でもとてもためになるので間を開けて後半に挑戦しようと思ってます。
私的には、生活様式や道具はどんな必然性があってそうなるのかっていうのを突き詰めて知りたかったのですけど、この本ではどうやってモノが伝播して行ったかに尺を取ってます。ローマ帝国の道路網やモンゴル帝国の草原の道、イスラム商人の交易ネットワークを辿ってどう文明が交流したか。
前半を読んだ限りすごいのは遊牧民族とムスリムの存在感ですね。例えばパルティアの太陽神ミトラの誕生日(冬至の日)をイエスの誕生日として組み込み、キリスト教指導者が競争相手のミトラ教を吸収したっていう。このミトラ神がクシャン朝に伝わると大乗仏教に組み込まれ未来仏「弥勒」になったという。
京都フリークだった私がいちばん好きな仏像が広隆寺の「弥勒半伽思惟像」なのですけど、この弥勒様が椅子に座って膝で頬杖をついた姿勢なのは遊牧民の椅子に腰かける座法の影響だそうです。ほほう。
『手にとるように宗教がわかる本』島田裕巳監修 世界思想史研究会編
広く浅く各宗教の歴史がわかります。図解も多いのでパッと確認できて良いかも。索引も付いてて、コンパクトな事典て感じです。
で、文明の発祥と宗教のはじまりは同一なのが、上記の『[モノ]の世界史』と並行して読むことでよーくわかりました。
特にイスラム教の合理的実践的な政教一致の社会体制があるからこそのムスリム商人の活躍なのかと納得。
革新的に物事を進めていく中では宗教による強固な精神思想って必要なのだな。日本人にはそれがないからな。何事も話し合い、決まらなかったら占いに頼るとかマジか、ですよね。(役員とかくじやじゃんけんで決めるのやめて欲しい。じゃんけんは平等じゃないから~) 責任者不在のなあなあな組織体制……。どっちが良いとか悪いとかじゃないですよ。
今回は以上です。