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3月32日

3月32日

※このお話は、「お手伝い部!」の番外編のようなものです。本編を読まなくてもわかるようになっていますが、読んでからだと、なおわかりやすいかと思います。
ちなみに、読んでいてもわからなかったら、あれです、考えるな、感じろっ!というテンションでお願いします(おい)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881188473

「大変、鈴田さん!」
「なぁに、変態」
「変態じゃないもん! じゃなくて。このカレンダー、三二日まである!」
 壁にかかってるのとは別に、卓上のカレンダーを指差す。
 今年の始めに、部長が、貰ったから、とかで持ってきた日めくりカレンダーだ。
 基本的にカレンダー自体は壁掛けで間に合っているので、日めくりはめくりたい人が勝手にめくっていくことになっている。
 私が今ここに来たとき、まだ三月三一日だったので、めくったのだ。
 そしたら出てきたこの見たのことの無い日付に、私は驚いて、呑気に本を読んでいる鈴田さんに話しかけたわけである。
「あら、本当ね」
 鈴田さんはちらりとだけ見て呟くようにいうと、スッと本に視線を戻す。意外とそっけない。もうちょっと反応があると思ったのに……。もしかして。
「鈴田さんが仕掛けたの?」
「さあ? あなたは私だと思うのね」
 よくわからない答えが返ってきた。

 と、後ろでガチャリとドアが開く。
 振り向けば、優輝先輩と昂輝先輩が入ってくるところだった。
 犯人はわからないけれど、きっとこの二人なら、少なくとも優輝先輩ならまともに相手してくれるはず!
「先輩、このカレンダー見てください!」
 私の声に、昂輝先輩が耳を塞ぐ。
「うるさいなぁ、メガホン女、もうちょっと音量調節できないの?」
「メガホンじゃないですー!」
 いーっとすると、鼻で笑われる。先輩じゃなかったら怒ってる。
「あら見て、コウちゃん。このカレンダー、三月三二日になってるわ」
 私の指差す先を見た優輝先輩が、昂輝先輩に言う。優輝先輩は優しいなぁ……。
「あ、ほんとだ。メガホン女が作ったの?」
「私じゃないです。さっきめくったときにはこうなってたんですよ!」
「どうだか」
「嘘じゃないです! ね、鈴田さん?!」
「あーうん、そだねー」
「鈴田さん!?」
 え、なに、その投げやりな返事!?
 地味にショックなんですけども!
 と思ったら、よく見れば鈴田さん、顔伏せてる……? 肩も若干震えてる……?
「鈴田さん……?」
「なに?」
「私が来る前は、普通に三月三一日だったよね?」
「そうね」
「私がめくったら三二日が出てきたんだよね?」
「ええ」
「なんでか理由わかる?」
「私が作ったもの」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「え、なにこの沈黙」
「いや、そういうキャラでしたっけ、鈴田さん……」
 最初は疑ったけどさ。
「うん、まあ、嘘なんだけどさ」
「え」
 やっぱり嘘なんかい。
「部長よ、部長。さっき来て、仕込んでったのよ、それ」
「え、でも部長って卒業――」
「え、なんのこと?」
「え」
 え、だって部長って三年生で。
 この間卒業式があって、それで。
 あれ、卒業式っていつあったっけ?
 そもそもこれはなんの集まりなの?
 あれ……?


「杏吏(あんり)!」
 母親の声に、ハッと目を覚ます。そしてすぐ耳元で鳴っているアラームを、慌てて止める。時間は……よかった、まだ余裕がある。
「もう、何度起こしたと思ってるの。あんた、遅く行って目立つの嫌だって言ってたじゃない。時間は? 大丈夫なの?」
「うーん……今からゆったり支度しても間に合うかな……」
「そう。なら早く支度しちゃいなさい。朝ごはん出来てるから」
 寝起きで辛いからゆったり支度したいんだけどな、なんて思いつつも、返事をしてのそのそと布団から這い出る。
 パジャマから制服へ着替えながら、さっきまで見ていたはずの夢を思い出そうとしてみる。でも、なかなか思い出せない。
 すごく美人な人がいた気がしたのだけど……まあ、思い出せないならしょうがないかな。
 姿見の前で、おかしな所がないか確認をしてみる。……あ、寝癖。あとで直そう。
 今日は昨日入学したばかりの私にとって、二度目の登校だ。
 どんなクラスなんだろう。
 仲良くなれるかな。
 もう、中学の頃みたいなことは、ないといいな。
 でも、うん、きっと大丈夫。
 私は女の子が大好きだから。男の子には、二次元以外、興味を示さなければ、大丈夫。
「……よしっ」
 姿見に映る自分に頷いて、私は部屋を出た。


終わり。

ここからほんとの近況報告です、はい。

エイプリルフールですってよ、皆さん!
ということで、このお話自体もお手伝い部!的に、嘘かもしれないのですが(登校日にこんな夢は見ていない、的な)
お久しぶりです、奔埜です。
一部の方には、てめー、久しぶりじゃねーだろーが!って言われそうですが、お久しぶりです。

突然ですが、ご報告。
もしかしたら四月に完全に復帰するかもです。
というのも、ずっと目指しているレーベルさんがカクヨムさんに参加された上に、なにやらコンテストを開催されるようなので……。内容によってはかなり早めですが復帰します。
実は、ほぼ毎年送ってるんです、はい。
……合ってないとは何度も言われていますが!
なので、もしも戻っても戻らなくても、温かく見守っていただければ、幸いです。

そうそう。
最近、桜が綺麗ですね。お花見なんて、いかがでしょうか。
私は今日、してきましたよ!
綺麗でした(*´ー`*)
儚くていいですよね。ぜひ、皆さんも、お花見してみてください!
なんて、季節な感じのことを言いつつ。
失礼します。

8件のコメント

  • 実は、黒猫屋さんの企画に参加させていただきましたー!
    https://kakuyomu.jp/users/kuronekoya/news/1177354054885457291

    きっと今近況ノートの一覧見たら楽しいことになっていそう……。
  • お手伝い部、未読で申し訳ないのですが夢オチに楽しませていただきました(*^_^*)
  • 陽野さん!
    わー!ありがとうございます!!
    ちょうど陽野さんのところにお邪魔しようと思っていたところなんです。
    楽しんでいただけたようでなによりです。
    ありがとうございます(*´ー`*)
  • 本編知らなくても充分楽しめました♪
  • 早瀬さん!
    そう言っていただけると、とても安心できます……(*´ー`*)
    ありがとうございます!\( •̀ω•́ )/
  • 小鳥遊さん!
    こんにちは(*´ー`*)
    確かに!
    日めくりだと頑張れば自分で挟むことも出来るので、そのカードだけどこかで売られていたら楽しそうですよね(^^♪
  • 🐾🐾🐾!
  • 黒猫屋さん!
    ありがとうございます🐾(✿´꒳`)ノ°+.*
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