興に乗ってきました、birdeaterです。近況ノートに味を占めてしまったので、興味が薄らいでいく前にいろいろ書いてみようと思います。心当たりとしては、以前書いていたブログに似ているのかな、とも。
今日話してみようと思うのは、投稿中の作品の世界観について。もちろんネタバレは避けますのでご安心ください。
まず構想段階であったのは、「異世界から現実世界に転移させたい」ということでした。異世界は我々が思い浮かべるようなファンタジーな世界、現実世界は今我々が生きている世界。ファンタジーの住人を呼び出すことで、ファンタジーの世界に於けるリアリティを引き出せるのではないかと思ったのです。
実際のところ、ファンタジー的なリアリティを書くのは簡単ではありませんでした。どうしても常識的な思考に引っ張られてしまう、という感じで。無論私も魔法も奇跡も操れないので、共感はできないな...と。
いや待てよ、と思い止まったのは書き始めて数日。寧ろその共感不可能な点が、彼女らを異世界出身たらしめるものなのではないか、と気づいたのです。現在投稿されている編から書き抜くのであれば、
「なるほど、というのは、なかなかこの世界も美しくはなさそうなものだったことに失望しているのだ。この世界の人間も、意外と冷たい眼差しなんだな。魔術さえなければ、世界ももっと平和に…と願ったこともあったが、そんなこともないみたいだ。やはり幸福とは複雑だ。(第二章:巡り合う星の名は①序盤)」
この辺りが顕著でしょうか。魔術や魔法といった奇跡の体現的な技術を得てもしかし、安定した幸せを求め、奇跡的文明力を捨てたいと願ってしまう。魔術がきっかけに起こる戦争等は私たちにも予測できそうですが、彼女が言わんとしていることは続く文章
「にしても、どうして魔術もない世界で悩むことがあるのだろう。私の世界では、魔術とは才能や血統の表れであって、努力や偶然では覆せない絶対的なステータスだった。それに比べれば、学力や運動神経など、到底苦悩には及ばない。努力の範疇でどうとでもなるし、実際学力が劣っていたり運動能力が低かったりしても生きていけないわけじゃない。魔術と違って、それだけで「命の価値」が決まるわけじゃないはずだ。諦めるには早すぎやしないか。」
と、締められるわけです。私たちからすれば「学力や運動神経など、到底苦悩には及ばない」なんて思えないわけですが、彼女からすればそんなこともない。人によってはこの一文、憤りさえ感じるのではないでしょうか。私はそう感じます。
人の心を思いやれない、ということではなく、根本的な価値の基盤が違う。だからもし私が彼女と相対しても、議論することさえできない。お互い全く異なる境遇で経験を積んでいるのですから当然です。そのような隔絶感を大切に書きました。
以上の点がひとまず、私が思うファンタジーなりのリアリティ、不可解性です。
このような方法で目的を達成できたあと、具体的に主人公ルディアの背景を考えました。以上のセリフからも分かるように、魔術を嫌悪する存在でありますが、同時に私は「ウィザード・マーキュリー」という設定も考案していました。太陽系に於いて、太陽に最も近い位置で周回するのが水星。王を太陽として、その側近として仕える王宮魔術師。この設定と、ぼんやりと考えていた「水銀(マーキュリー)を操る魔術」の設定がぴたりとハマって、「水銀魔術を扱う最強の魔術師」としてのルディア像が完成しました。
また、強調して演出した水銀魔術の発動方法。今まで「体液を利用した能力発動」はたくさん存在してきました(「進撃の巨人」に於ける巨人化、「境界の彼方」に於ける栗山未来の能力等)。そこから連想したのは確かですね。
魔術を嫌悪するルディアにとって、魔術は「使いたくないもの」である必要がありました。少しグロテスクで、インパクトのある表現...そうだ、目から出そう!それも噴き出すのではなく、ドロドロと流れ出すように!と思いつき、これはそのまま採用しました。個人的にとても気に入ったアイデアだったので。
水銀魔術はルディアのアイデンティティ。水銀魔術以外にも遍く魔術を発動可能ですが、やはり能力バトルとして個性を授けたかったのです。
そんな魔術の発動方法についてですが、長くなりそうなので次回に。
birdeater(22/10/19)