• 現代ファンタジー
  • SF

水銀のマリオネットについて、いろいろ(22/10/18)

 こんにちは、birdeaterです。
 初めて、しかもこの時間に近況ノートを書くことになりました。

 他の媒体だとTwitterとかにも近況は残せるのですが、あちらは時間の経過と共に埋もれてしまうので、こっちにも残しておきたいと思います。

 私自身の生い立ちについて。
 今から七年前から、ネット掲示板に匿名(名無し)で小説を書いていました。そのときは主に、ロボットや巨大生物をテーマにしたSF小説やアクション系ファンタジー小説を投稿していました。個人活動としての執筆というよりかは、あくまで自分の作品をどこかに残しておいたほうがいいかもしれないということが理由で投稿していました。書き終わったあとの自分の作品にはあまり興味が無い方なので、「誰かが読んでくれたらいいな」くらいの感覚で投稿していました。

 投稿から2年後、僕が利用していた掲示板がなくなってしまったことをきっかけに投稿を中止しました。それからはメモ帳などに書き残すに留め、特に投稿の予定はありませんでした。
 そして去年、Twitterを開設して投稿を再開することを決めました。今度は、個人活動者birdeater名義として、小説を主軸に様々なことをしていきたいと思っています。
 投稿再会のきっかけは、友人から「せっかく書いてるなら、活動者として投稿してみなよ」と勧められたこと、「昔書いていた小説を、もう一度新しい形で作り直したい」と思ったことからです。


 漸く、私自身の作品に触れます。
 本来は今年の一月から、処女作「変わりゆくワンダーランドより ─黄金劇場─(以下かわりゆ)」を投稿する予定でした。しかし、私の所属しているサークルで「コミケ出展に向けて本作をゲーム化したい」との意見が出、ネタバレを避けるために投稿を中止。代わりに次回作である「The WonderLands:水銀のマリオネット(以下水リネ)」を投稿することにしました。

 今作は、異世界から現実世界に転移してきた魔術師の少女ルディアと、現代の東京を生き抜く野生の家出少女未紅の出会いを契機に始まる冒険譚となっています。
 まず構想として、主人公に女性を採用したいという願望がありました。私の過去作を見ると、男性主人公が圧倒的な割合を占めていたので、せっかくだから書いてみよう、という。
 女性主人公の特徴として、やはり繊細な印象があるということでしょうか。男女を一括りな印象で説明するのはトレンドに逆行してしまうかもしれませんが、あくまでも説明の一部として、ね。
 女性に内包されている機微な心情の変化は、まさに現代の表現に求められている要素かなと思っています。そして同時に、主人公の相棒も女性にしたかった。でも、心のどこかで「百合」とは一線を引きたいという願望もあった。ただ単に二人の絆、関係性に於ける良い側面を描くだけでは、どこか満足できない...と思っていたので、もう少しスパイスのある書き方をしてみようと試行しました。
 しました、というのは、実は既に本作は私の手元で完結しているのです。以前は連載しながら書いていましたが、今は完成したものを載せるスタイルが好きなのです。

 かわりゆのコンセプトは「王道現代ファンタジーの再編」でした。たくさんの異能と思索が絡み合い、ミステリー調に謎が解明されていく。その合間合間には熱い戦いと尊い絆があって、思考と感覚を同時に刺激されるような作品。それがかわりゆです。
 一方で水リネのコンセプトは「現代ファンタジーの魅力をもっと引き出してみたい」というもの。未発表の前作「かわりゆ」のキャラクターたちを引用しながら、(現実的な意味で)まだ誰も知らない世界のその後を書く。前作の世界観を利用して「ファンタジー」と「現実」の対比を生かしたい。出自の違いによるキャラクターの価値観の違いを利用したい。あらすじにあるように、「魔術師が現実を見て何を思うのか」を知りたい、思考実験的な小説になりました。そういう意味で、今回刺激されるのは「思考」の方かもしれません。
 今読み返してみても、ルディアと未紅の関係性や考え方の変化について、かなり重点を置いていると思います。これを言うと言い訳のようかもしれませんが、本作ではところどころの「共感できないところ」を描写しています。読者が一見して「どうしてこんなことを思うの?」とか、「そんなことで感情的になるの?」とか、理解されないような感情表現を用いてる。私は寧ろ、その部分がこの作品の本質だと思っていますので、どうかそこは表現の一種としてお楽しみください。女性主人公タッグの、「百合」とは違う魅力を引き出せているのではないかなと思います。
 この作品のテーマは、「絆とは、他人を理解することではない」というものなのです。


 最後に、余談です。
 自作、水リネのキービジュアルに表記されているタイトルの英訳は「Marionette by Mercurius」ですね。今回日本語の「の」を「of」にしたくなかったのには理由がありまして、それはまさしくこのセンテンスが、ばっちりこの作品を表現しているのです。メルクリウスは北欧神話のオーディンと同一視される旅と知識の神、同時に水銀の意でもありますね。一体"何が"、"何において"、"何による"マリオネットなのか。今後の展開にご期待ください。


 birdeater(22/10/18)

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する