「注目」にあがっていた作品タイトルになんとはなしの匂いを感じ、読みにいった。
小説よりは、過去の折々にしたためた覚え書きを簡潔にまとめて並べた心得帳と言ったほうがしっくりくる作品。
語り口には最初に感じた「匂い」がより濃くうかがわれ、いくつかの掌編をザッピングするうちに予感は確信に変わる。
同世代人だ。
皆無ではないが、正直いって界隈では珍しい。だから、そういう人がそこにいるとわかっただけでもなんとなく嬉しくなる。
彼(男性であることは疑いもない)の綴る文章は、例えば眠っているときに、無意識下で隠している僕自身が勝手に起きて書いていると言われてもうっかり信じてしまいそうな印象さえある。
多くの読者の皆さんには伝わらないかもしれないが、彼を形容する言葉は僕が思うにひとつしかない。
「ナイーブ」なのである。合わせ鏡を見せられて恥ずかしくなるくらいに。
つい採点がキツくなり、全部につけても良かった❤︎を1エピソードにのみ残しておいた。ここにも同世代がいるよ、という印として。
ほどなく大量の❤︎や★、フォローなどの足跡通知が届いた。予感通り、彼からだった。僕のSF連作を読んでくれたらしい。しかも、あろうことかなギフトまで付けてくれて。
気に入ってくれてのものに違いないと信じ、有り難くいただくことにする。
近況ノートによると、五月にはアカウントを削除する予定とのことで、甚だ残念に思っている。もちろん事情がおありなのだろうが、さらっと撤回して、文筆創作を継続してくれたりしたら、僕も励みになるのだが。
無名の人さん、このたびは訪れてくれてありがとう。