皆さま、いつもお世話になっております。
音愛トオルです。
本日19時の更新分にて、『私の恋人は精霊姫だし、明日にはもう戻れないし、世界がやばいって言ってるの!!』(『わたひめ』)が完結いたしました。
当初の予定では各章ごとにコメントを、と思っていましたが、第3章とプロローグαが特に短かったため予定を変更して第3章~完結まで、一気にあとがきという形でコメントをまとめることにしました。
以下、あとがき本文です。
『わたひめ』が完結した日の近況ノート、コメントですので結末部分にかなり触れることになりますが、今回の「時間の環」は書いていてとても楽しかったです。私事にはなりますが、今までも何度かこういった時間ものを書いた経験がありますが、一番よくまとめられたかな、と思っています。
今回は特に、異世界×SFということで、トリックに魔法をかなり絡めたお話ですが、SF要素はそこまで濃く出来なかったなという心残りがあります。めぐるとアリーチェたちが星間文明同盟、ユニオンの色んな場所を冒険しつつ、「知らぬものたち」と戦う展開とかも書ければなぁとも思ったりしていましたが、それは(書く体力があれば)第二部以降の展開になりそうです。
そう、完結はしましたが今回の話は第一部。
〈曇天の乙女〉とは何だったのか、未来世界はどうなったのか、αとβについて。
第一部で答えを推測できる情報は出してはいますが、細部まで描写することは紙幅の都合出来なかったので、いつか書いてみたいなとも思っています。
それから、ラスボスとして出て貰ったヴァイオラ。
アリーチェの幼馴染、アリーチェの初恋相手。〈返血の刃〉とは、ヴァイオラがアリーチェを〈精霊姫〉として神格化する王国の在り方を認められず、自らの手で腐敗を取り除こうとその剣を研ぎ続けたことで出来た二つ名です。モンスターの返り血を浴びたことで、綺麗だったヴァイオレットの髪も赤に染まってしまいました。
最後に出てきたキャラクターではありますが、個人的にかなりお気に入りです。いおちゃんに並ぶくらい。
アリーチェの魔法で作る武器が黄金の光が束なったもの、ヴァイオラの〈赤紫の剣〉は彼女愛用の触媒でもある武器。アリーチェの為に磨いた剣のその切っ先が、ほかならぬアリーチェに向いてしまうのは、めぐるを守るために戦ったアリーチェの魔法によってめぐるが致命傷を負う部分との対比ですが、武器もかなり対照的なイメージです。
さてそんなヴァイオラですが、彼女がアリーチェに刃を向けた心理は一言では到底説明出来ないものがあります。ここは皆様の感じ方で受け取っていただければと思っております。私の考えとしては、極大魔法を撃った後の彼女の台詞が……と。
それからイオーネこといおちゃんですね。
いおちゃんの髪飾りに似てるものをリネンさんが着けていて、めぐるが反応したあのシーン。リネンさんは異世界に迷い込んでしまった妹のイオーネをずっと想っていました。二人の家名は「ナートエ」と言いますが、ナートエ家は代々アオスレン王家に仕えていて、リネンの前にイオーネがアリーチェの傍付きとして仕えていました。二人の髪飾りはこの時に作られたもので、リネンは唯一の妹との繋がりをとても大切にしていました。
そんなリネンが異世界に来て、妹と名前の似ている人物が、妹と似た髪飾りをしていると聞いて、ひどく心が乱れたことだと思います。再会できて本当に良かった……。
まだまだ語りたいことは沢山ありますが、あとがきなので裏事情というか、補足を。
魔法の性質として、「記憶」を触媒にすることが出来ます。人が魔法の対象であれば、その記憶が対象の人物に魔力として移ってしまうこともある、とは本編でも説明しました。めぐるの中にたびたび流れていた声は、アリーチェの「記憶」であり、めぐるがヴァイオラの攻撃を弾くことが出来たのも、このいわば「記憶魔力」のおかげです。
ここで、「めぐるがアリーチェに恋をしたのは、アリーチェの記憶があったからなのではないか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。書き方や描写として、明確にこれについて語る部分を用意できなかった私の実力不足です。すみません。
これは、決してそんなことはなく、無意識下の影響もありません。いうなれば、「脳裏に知らない声や光景が浮かんでくる」くらいのものですし、めぐるがそれがアリーチェのものだと分かったり、アリーチェの異世界出身を「知っている気がする」と思ったのは、全て「アリーチェと出会ったから」ということになります。
とはいえ、突き詰めていけばやっぱり無意識の影響があるんじゃないかという話になっていく部分でもあり……ここは、これは「記憶」よりも「魔力」に近いものだから、ということにしておいていただけれると、助かります……。
最後に、読んでくださったすべての皆さま、本当にありがとうございました。また、気に入っていただいて、レビュー評価等などしてくださった皆さまも、本当にありがとうございました。とても嬉しかったです。
めぐるたちの物語は一旦幕を閉じ、次は珍しく転生モノと、ファンタジー要素のない恋愛モノを書くべく準備を着々と進めております。ご縁があって『わたひめ』を気に入っていただいた方にも楽しんでいただけるような百合作品をこれからも沢山書いていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
音愛トオル