『鏡鑑の夏と、曼珠沙華』、最終話までお読みいただき、誠にありがとうございました。作者の水無月彩椰です。
完結までに、およそ一年半もかかってしまいました。本来なら半年で完結させるはずだったのですが、学業との並行、商業連載なども相まって、ズルズルと先延ばしにしてしまいました。
それでも、ようやく──水無月彩椰の代表作とも言うべきこの作品に、一つの区切りを付けられたことを、作者としてたいへん嬉しく思っています。
少し昔話をさせてください。
私が鏡鑑を書き始めたのは、今から三年前でした。ライトノベルだけを書いていた当時、『自分の理想とする文体・作風』を目指し、モデルチェンジを図った結果が、本作品の"初版"です。
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正直、粗の目立つものですが、確実に、今の"水無月彩椰"を形成した基盤になっています。無理をして背伸びした結果が出たなと思っております。
ただ、そうした背伸びは長く続かないもので、一度は更新をやめてしまいました。筆を執り直したのは、二年後、小説家デビューを志した時でした。自分の実力を信じていたからこそ、もう一度、添い遂げる覚悟が出たのです。
周囲からの評価は上々でした。精緻美麗な文体には作者の自信が宿り、本気で練ったプロットは、読者を物語に引きずり込みました。おかげで、私の固定ファンはたくさん増えました。
当時、デビューを目指していたコンテストには、残念ながら落選してしまいましたが──それでも一定の結果を得られたと、私はやや満足しました。次にやるべきことは、完結のみ。そうして再チャレンジを果たすことだけ。
……実際は、鏡鑑を読んでくださった担当編集さんから、昨年に出版した『バーン・ホワイトウェイブ』の新作書き下ろしを依頼されたのですけれどもね。これはこれで嬉しかったです。
『バーン・ホワイトウェイブ』のおかげで、私のファンはさらに増えました。しかし、『鏡鑑の夏と、曼珠沙華』まで読んでくださっているかは、分かりません。ただ出版後は、鏡鑑の完結だけを目指して必死に書きました。
おかげで、こうして無事に結びを迎えられて、ほっとした心持ちです。今の自分を形作ってくれた作品に、一つの恩返しができたのではないでしょうか。今まで私を育ててくれた恩師、ファンにも、同じことを思っています。
ただ、正直なところ、書いているうちに、もっと良くできる点が見つかりました。自分の代表作を、完結というだけの結果に収めたくはありません。本当ならば、また賞に出すなりして、本にしたいのです。作品のすべてを分かったからこそ、改稿を考えています。
まぁ、それは後々のお話になりますが、ひとまず今は、安心しました。作品を完結させたのは、これが三回目です。どのように物語を収めればいいか悩みましたが、自分にとっても読者にとっても最善だと思えるような形にはしたつもりです。……少し、怖いです。
この完結という大きな区切りに、評価とか、感想とか、レビューとか、ぜひぜひ戴ければと思っています。年内のどこかで、新作の執筆も考えています。今後の糧にさせてください。
長くなりましたが、これにて後書きを終わります。今後とも水無月彩椰をよろしくお願いいたします。