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銀河乞食軍団の葬送

 野田昌宏著の「銀河乞食軍団」は、ほぼ初版を全巻持っています。同作の魅力を伝えるのは難しいのですが、八尾空港や調布飛行場からふつうに宇宙船が離陸してゆくスペースオペラ、とでもいいましょうか。初めて読んだときには私はまだ高校生でしたが、年齢相応のSF読みとして十分に楽しみました。しかし、より大きなショックは、20年近く経って、エンジニアや社会人として相応を経験を積んだあとで読み返したときでした。そこに描かれた事物が、実は夢物語ではなく、本物だったと気づいたからです。元自衛隊のテストパイロットがボロボロの飛行機を自転車代わりに飛ばし、気むずかしげな整備士がにらみつけるだけでエンジンは故障が治る、そういう世界は実在するのです。
 そして、ご存じのように、今や、現実の日本では、そういう時代は終わりました。私が「リアル乞食軍団①」と認定したある会社は、仕事がなくて困っています。整備士もパイロットも引退してしまいました。
 私達が夢想した未来は、もう来ないのでしょうか。

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