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ロシアの大統領さま

ロシアの大統領さまは柔道などで身体を鍛えるばかりで、映画などご覧にならないのかもしれない。

しかし思い出して欲しいのです。
ロシアはソ連時代に、世界が認めたこんな素晴らしい映画を作っていることを。

ねむられぬ夜に悶々として、拙作「映画の旅」からここに転載したくなった。
あなたの国には、こんな良心もあるはずなんですよ!


第104話 誓いの休暇

1959年のソ連映画です。

この映画を観た二十代の私は、全く理解していなかったのだと思う。
今観ると、本当に当時としては傑作であり、映画史に残る名作だと思う。とは言っても、今はもう忘れ去られているのだろうが。


村には、町へ通じる道は一本しかない。
まだ10代のアリョーシャも、この道を兵隊に行き、そして戦争が終わった今も、その道で待ち続ける母のもとへ帰ってくることはない。

アリョーシャは戦時中、通信兵として前線に赴き、ひょんなことから思わぬ手柄を立ててしまう。
お陰で、屋根が壊れたといっていた母のもとへ行き、屋根を直してやるために、往復で4日間、自宅への滞在が2日間、計6日の休暇をもらえることになった。

列車に乗り込み、片足を失って除隊となった兵士の荷物を持ってやったことから、その兵士の帰還に付き合うことになる。
その兵士は、出兵前から妻との仲が冷え切っていて、自宅に帰るかどうか逡巡していた。

ずっと妻を信じることができなかった彼だったが、自宅のある駅に着くと、妻が涙を流して迎えてくれる。
2人は固く抱擁する。
彼にはもう片方の足だけしか残されていないが、それでも妻に支えられて、2人は家路に着くのだった。

その後乗り換えた列車で、アリョーシャは、シューラという少女と知り合う。
臆病で、初めはひどく警戒していたシューラだが、アリョーシャと共に様々な出来事を乗り越えるうち、次第に彼と心通わせるようになる。

2人は残りの旅を続ける。

窓から見える木々や大地、そしてそこに重なるロシア民謡を思わせる音楽、それはまさにロシアの抒情というにふさわしい。

しかし束の間の2人の交流も、終わりがやってくる。
発車する列車を追い、シューラは走る。
僕の村の名前はー
列車の上から叫ぶアリョーシャの声は、車輪の音にかき消されてしまう。

そうして何とか村に戻ったアリョーシャは、母との再会を果たす。
しかし旅の途中、人助けに随分時間を使ってしまったアリョーシャには、帰りの列車の発車時刻が迫っていて、もう車に戻らなければならない。
号泣する母。
しかしアリョーシャはどうすることもできないのだ。

村に通じる道は一本しかない。
初めにも書いた通り、戦争が終わっても、アリョーシャは2度とその道を戻ってくることはなかった。

8件のコメント

  • 眠れぬ夜は辛いですよね。あったかいミルクを飲まれて、ストレスをすこしでも軽減できればよろしいのに。

    ロシア。国民も気の毒ですよね。
  • 指導者によって翻弄される国民。
    その指導者が独裁者であったならば、悲劇は繰り返されるのでしょうね。
    C国主席も、とうとう独裁者になってしまいました。
    アメリカでトランプが復活すると、世界はますます混迷するのではないかと危惧しています。
  • アメさん、書き込みありがとうございます。
    そうですね。あったかいミルクなどいいと聞いたことがありますけど、昨夜は身体に悪いのを承知で、冷蔵庫の中をあさり、腹をいっぱいにして寝ました。
    腹が膨れると眠れるのです。
    こんどは、あったかいミルクにしときますね。
  • そうですね。
    本当に大変な世の中になってきたものです。

    ついこの間まで、妻と妻の姉たちも行き来していたのに、いまはとても考えられません。
    世界が、これ以上悪い方に行かないよう願うしかないですね。
    佐野さん、書き込みありがとうございました。
  • レネさん。近況ノートへの書き込み、ありがとうございます!
    悪気があると思ったことはないです。いつも思うのは、勇気があるなと。
    すごく言いづらいことなのに、こうして書いてくださるのは私のことを思ってくれてのことだと受け止めています。それと、言っても大丈夫だと、私を信頼してくれているのかなと。
    読む人によっていろんな感じ方があるので、レネさんの感想やコメントや指摘は、読者の意見として受け止めています。間違っているとか、役に立たないと思ったことはないです。
    レネさんの意見を参考にして、直すところは直して、熟考したり、見直したり、修正したりしています。
    レネさんの意見は、私に考える機会をくれています。感謝しています。ありがとうございます。

    これからもよろしくお願いします(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠
  • あらすじだけでも胸に来る物語だと分かりますね。
    素晴らしい芸術がいっぱいある国なのに。
    ただひとりの指導者のせいで全部貶められるような気がして、もったいないとさえ思えてきます。
    グローバルとかなんとか言いながら、分断が進んでいるように思えます。それは世界の中でもひとつの国の中でも同じように感じます。
  • 本当に、この国は素晴らしい芸術がいっぱいありますよね。
    そうした芸術家たちと、今のこの国とが私のうちでどうも結びつきません。
    世界の分断は確かに進んでいますよね。だけど、昨日くらいから習近平主席が両国の間を取り持つかもしれないという憶測がちょっと出ています。
    そんなことでもあれば、本当に幸いなのですが。
    柊さん、書き込みどうもありがとうございます。
  • ルー大陸さま、お久しぶりです。
    名前をお見かけし、懐かしくてちょっと覗かせていただきました。
    また気が向きましたらよろしくお願いします。
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