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カリオストロ家の謎と宮崎ルパンの正体

ルパン三世カリオストロの城……本当に今さらなんですけど、ラストの遺跡が元・黄金都市ではないかって話があるらしいんですよ。
 オタキングもその話をしただけで全く考察を進めてなかったんですけど、ちょっと考えれば仕掛けがわかるじゃないですか。
 ゴート札の話をしているのに『かつて本物以上を謳われた』と言いながら金貨を天秤で計っている商人、少なくともナポレオンの資金源ってとこまでは金貨で、第二次大戦からはニセ札。
 つまりニセ金貨とニセ札は別問題として考えるべきなんです。
 そして『本物以上』のニセ金貨とは……本当に本物以上だったんですよ、金の純度が!
 本物以上の純金でニセ金貨を作る意味がわからず商人たちは首をひねった。それがニセ金貨の謎です。
 そして金貨の材料が黄金都市にあったとすれば……純金を金貨に偽装して市場に流す意味があるって事じゃないですか。
 そこから導き出される答えは使い込み。
 カリオストロ公国の隠された遺跡は、カリオストロ家の所有物ではなかったのです。
 歴史の闇に消えた遺跡はローマ式建築、おそらく本来の持ち主はローマ・カトリック教会。バチカン市国です。
 大公家と伯爵家の地位を保証しているのはバチカンなので、バレたら破門されてカリオストロ公国が吹き飛びます。

 ナポレオンが遺跡の金を使いきった後はニセ札作りに移行、戦後は東西冷戦の狭間で米ソ両国の言いなりに生産を行い、世界経済を裏からコントロール。
 そこに現れたのがルパン三世でした。
 ルパンは伯爵城……ではなく大公屋敷に潜入、撃退されたものの遺跡の調査を完遂、クラリスに救われ逃亡に成功。
 ルパンを逃がした事を知った大公と先代伯爵はバチカンと交渉、ニセ札作りからの撤退を約束し、クラリスを人質として修道院に送り、屋敷を燃やしてジョドーと園丁(庭師の老人)など一部を除く暗部関係者たちと共に心中しました。
 こうして手打ちとなったはずなのですが……伯爵家を相続した何も知らないラザールが、米ソの介入でニセ札作りを継承してしまったようです。
 10年経ってもゴート札が健在と知ったルパンはカリオストロ公国の再調査を決意、カゲに襲われながら内部情報を受け取り、次元と共に遺跡から伯爵城へと潜入します。
 同時に銭形警部が現れ、囮として城門から進入。

 一方ラザール伯爵は、貨幣価値の変動や経済成長や金銭のデジタル化により、刷っても刷っても間に合わず質が
落ちる一方なニセ札作りに限界を感じ、事業撤退を決意していました……が、時すでに遅し。
 すでにジョドーが不二子の手引きで方々に手を回し、ルパンと銭形を引き込み、暗殺失敗という茶番に乗じて城内の見取り図を渡し、場合によっては伯爵の抹殺すら決意していたのです。
 なぜならジョドーはカリオストロ家の謎を知る唯一の関係者であり、本来の主は先代の伯爵。先代の命により、バチカンに破門されるような事態を招くようならラザールを始末し、ジョドーも自決する予定だったからです。
 全ては(すでに稼働を停止していた)ニセ札工場と遺跡の存在を衛星中継で世界中に晒した上で、何も知らないクラリスをカリオストロ公国の女大公にする計画のためでした。
 なおルパンとすり変わった、いや最初からルパンだったのかもしれませんが、大司教は協力者です。

 時計塔でルパンは意図的に歯車を破壊し、伯爵に指輪を渡してクラリスと共に逃亡。
 もちろん伯爵のサンドイッチと時計塔崩壊はルパンの仕業です。たった数枚の歯車を壊すだけで完璧な仕掛け!
 なお伯爵の謀殺に成功したジョドーは、最後の生き証人として五ェ門に『斬れ』と介錯を頼むものの、あっさり断られてしましました。
 なお不二子がくすねたニセ札の原版は、米ソからカリオストロ公国を守り経済援助を引き出す交渉材料。


 ここまで来ればおわかりかと思いますが、宮崎駿監督のルパン三世はバチカン市国の工作員です。峰不二子は修道会のスパイ。
 何も知らない次元はいろいろ察しつつも面白がって何も聞かずにルパンとつるみ、何も知らない五ェ門はいろいろ察して渋い顔をしつつも協力してくれる、頼りになる仲間たちでした。

 要するにルパン一味は、インターポールや警視庁とグルになって世界中でガサ入れを行っていたのです。

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