ネタを書き留めているアウトライナーのノートに書いてあった、大富豪バトラー。大富豪で戦うホビーアニメ風の話だ。
癒やされライティングにでも書こうかと思ってみたものの、うまく膨らませなかったらしい。記憶にないけど書いていたっぽいので、折角だから供養させてもらう。
以下、本文。
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『大富豪バトラー』
第N話:大富豪バトル! ボンバーゴー!
「ヒーンミンミンミン! お前も貧民にしてやるミン!」
N県N市に、突如として悪の声が響いた。
「嫌あああ! ダイヒンミンよ!」
「貧民にはなりたくな……ぎゃああ!」
全身黒タイツの怪しげな不審者から放たれる謎の光線により、市民から富が奪われていく。
「待つんだ! ダイヒンミン!」
「ミン? ミッ! お、お前は!」
トランプを片手に持ち、JOKERの刻印を手の甲に持つ少年。
彼の名は――。
「心の富は手放さない! 大富 豪だぜ!」
「わ、我等ダイヒンミンS県支部を一人で壊滅させたという……」
「そうだ! 人々から富を奪う輩は許さないぜ! 俺と大富豪で勝負だ!」
豪がトランプを手にすると、全身黒タイツの男はニヤリと笑った。
「よかろうだミン、クックック……後悔するといいミン」
「いつも思ってたけど、その喋り方クソダサいぜ!」
「ほざけミン! トランプセット!」
「大富豪!」
「「ボンバー! ゴー!」」
謎の掛け声を発すると、彼らの間にトランプが浮かび上がった。トランプの束がシャッフルされ、配られていく。
初期手札は13枚。
「ルールは大ローカルだミン! 23種類のローカルルールがお前を襲うミンよ!」
「なんでも来いだぜ! まずは俺のターン! ダイヤの3を1枚セットするぜ!」
豪の手札には、ダイヤの3、スペードの3がそれぞれ1枚ずつ。スペードの3はジョーカーに対する特攻手段として機能するため、初手で失うわけにはいかない。
クラブの3が2枚、ハートの3が1枚あるが、これもまだ使うわけにはいかないと豪は判断した。
ダイヒンミン戦闘員はまたも、ニヤリと笑った。
「ハートの456! 階段だミン!」
「くっ! やるな!」
同じマークの連続する3つの数字を一度に出せる技。相手の手札は既に10枚にまで削られてしまった。
豪は手札とにらめっこする。階段とマーク縛りはこのルールでは両立しないが、階段縛りは両立される。流れるまでは1大きいカードしか出せない。
「くっ……クラブの7をセット」
「運がいいミンねえ、スペードの8! 八切りだミン!」
ここで流されてしまった。豪は顔を歪め、冷や汗をかいている。
「ここは9を2枚出しだミン」
「来たな! 10を2枚! 10捨てを発動だ!」
「なにっ!?」
10捨て。10を場に出した数だけ、手札を捨てることができる技である。
豪は迷いに迷い、4と5を捨てた。
この時点で、ダイヒンミンの手札は7枚、豪の手札も7枚。五分五分だった。
「ジョーカーとクイーンで、クイーンボンバーだミン!」
「なにっ!?」
「数字は4を指定し、俺は4を1枚すてるミン」
「俺の手札に4はないぜ……」
「さっき捨てたのは不要な1枚のカードだと思っていたミンよ」
ダイヒンミンの残り手札、4枚。
一気に窮地に陥った……かのように思えた。
だが、豪は笑っている。不敵な笑みを浮かべ、手札を見ていた!
「勝負の場は大荒らし上等だぜ! 砂嵐!」
言って、豪はスペードの3以外の3を全て場に出した。
「砂嵐だとおおお!?」
「砂嵐は場のマーク、枚数、数字に関係なく3を3枚出して発動し、場を問答無用で流すぜ!」
これで豪の手札は残り4枚。ダイヒンミンに並んだ状態で、自分の手番から開始できる。
ダイヒンミン戦闘員の黒タイツに、汗が滲みはじめた。
「7渡し! 俺は要らないカードを1枚お前に押し付けるぜ!」
残り手札3枚。手札には、スペードの3が1枚、2が1枚、ジョーカーが1枚あった。
豪は2を1枚、相手に手渡した。相手の手札によっては、この時点で豪の勝ちもあり得る手札だった。
「これは……」
ダイヒンミン戦闘員は滝のような汗を流し、長考している。周囲を取り囲む市民たちも、固唾をのんで見守っていた。
豪は強いカードを渡すことで、相手の疑心暗鬼を引き出すことに成功したのだ。
「俺はキングを出すミン」
「パスだぜ!」
「残り4枚……5を2枚出すミン!」
「スキップだが……どのみちパスだぜ」
「ギギギ……残り2枚……2を出すミン」
相手は2を出すしかなくなった。2を最後に出すことは、負けを意味するからだ。豪はニヤリと笑い、カードを叩きつける。
「ジョーカー!」
「くっ……持っていたミンか」
「流してスペ3を出して、俺の勝利だぜ!」
ダイヒンミン戦闘員はガクッと膝をつき、最後の1枚を地面に落とした。その1枚は、6だった。
「ちくしょう……! 覚えてやがれミイイイイン!」
ダイヒンミン戦闘員は爆発四散。大富豪バトルに負けた者の辿る、いつもの末路だった。
豪の周囲に観衆が駆け寄る。ありがとう、助かったと口々に言う市民たちに笑顔を向け、豪は颯爽と立ち去った。
「まだまだ高みは遠い……待ってろダイヒンミン総督!」
夕日に誓う。
いつの日か、あの日の復讐を果たすと。
行け、大富豪バトラー! 人々の心と財布の富を救うのだ!
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うん、なんだこれ。
泥酔しながら書いた? 多分そうだな。
なんか、大富豪ってローカルルール多すぎてわけわからないですよね。カードアニメみたいだなあと思って、ネタ帳に書いたんだと思います。
本当になんだこれ……。